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小規模コールセンターにシステムを導入するメリットは?業務効率化のポイントを解説

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小規模コールセンターにシステムを導入するメリットは?業務効率化のポイントを解説

慢性的な人材不足や応対品質の低下などが発生しやすい小規模コールセンター。システム導入で課題を解決したいと検討している方も多いでしょう。そこで今回は、小規模コールセンターにシステムを導入するメリットや業務効率化のポイントをご紹介します。システム導入にお悩みの方はぜひチェックしてみてください。

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INDEX

小規模コールセンターとは?

小規模コールセンターとは?

小規模コールセンターとはどのようなコールセンターを指すのでしょうか?概要や課題についてご紹介します。

小規模コールセンターとは?

小規模コールセンターとは、オペレーターの人数が数人から数十人程度の規模で運営されているコールセンターのことを指します。明確な基準は業界によって異なりますが、一般的には50人以下の規模を小規模とみなすケースが多く見られます。

このようなコールセンターは、企業の自社内に設置される「インハウス型」や、アウトソーシング先の一部機能として運営される「分散型」など、さまざまな形態があります。中小企業やベンチャー企業、地域密着型のサービス業などで導入されるケースが多く、限られた人員で効率よく顧客対応を行う必要がある点が特徴です。

小規模コールセンターが抱えている課題

小規模コールセンターでは、大規模センターとは異なる特有の課題が発生しやすくなります。主な課題としては以下があります。

・対応品質のばらつきと属人化 人員が少ないことから、オペレーターのスキルや経験に応じて応対品質に差が出やすい傾向があります。また、ノウハウの共有や標準化が難しく、特定の担当者に依存する“属人化”が進行しやすい点も大きな課題です。

・顧客対応履歴の管理不足 小規模ゆえに、対応記録や情報の管理が手作業やスプレッドシートに依存しているケースも多く、過去の履歴を正確に参照できなかったり、情報の引き継ぎが不十分になったりするリスクがあります。

・慢性的な人手不足と教育負担 少人数での運営は、欠員や離職が業務に直結するリスクを抱えています。新たな人材を採用しても、教育体制やマニュアルが整っていないために即戦力化が難しいという問題にも直面しがちです。

予算の関係から人材を増やせない

新設の小規模コールセンターは特に、事業立ち上げ初期で予算に制約があるため、必要な数のオペレーターを確保できないという課題を抱えています。この結果、既存の少ない人材に業務負荷が集中しやすくなります。

オペレーター個人の業務負担が大きい

人員が限られているため、一人のオペレーターが複数の専門領域の問い合わせに対応する必要があり、個人の業務負担が非常に大きくなります。これがサービス品質の低下や疲弊につながります。

コールセンター業務の仕組みが構築できていない

新設の小規模センターでは、応答フローやナレッジベース、KPI設定などの業務の基本的な仕組みやルールが未整備なことが多いです。この仕組みの不在が、業務の非効率化を招く主要因です。

人手不足になりやすい

上記の要因に加え、全般的に、大規模センターと比較して、システム導入や人材育成に充てる予算や人的リソースが不足しがちです。これが、システム導入による効率化が強く求められる背景となっています。

業務が属人化しやすい

オペレーター個人の経験や知識に頼る部分が大きくなり、業務手順や応対の質が特定の人に依存する「属人化」が発生しやすいです。これにより、品質が不安定になり、新人教育にも時間がかかります。

大規模コールセンターと同等の品質が求められる

企業規模にかかわらず、顧客は一律に高い応対品質を期待するため、小規模センターも大規模センターと同等の品質を維持することが求められます。限られたリソースでこの要求に応えることが大きなプレッシャーとなります。

予算やリソースが不十分な傾向がある

全般的に、大規模センターと比較して、システム導入や人材育成に充てる予算や人的リソースが不足しがちです。これが、システム導入による効率化が強く求められる背景となっています。

小規模コールセンターシステムとは?必要な機能は?

小規模コールセンターシステムとは?必要な機能は?

小規模コールセンターに導入するシステムとは何があるのでしょうか?またコールセンターのシステムに必要な機能について解説します。

小規模コールセンターシステムとは?

小規模コールセンターシステムとは、少人数体制のコールセンターでも効率的に顧客対応が行えるよう設計されたソリューションです。一般的には数人〜数十人規模のチームに対応しており、以下のような特徴があります。

・クラウド型が主流 サーバーなどの初期投資を抑えつつ、在宅勤務や拠点分散など柔軟な働き方にも対応できます。また、ブラウザベースで利用できるため、パソコンとネット環境さえあればすぐに運用可能です。

・インバウンド・アウトバウンド双方に対応 顧客からの問い合わせ(インバウンド)だけでなく、営業やリマインドなどの発信業務(アウトバウンド)にも対応できる機能を備えています。

・小規模でも効率的な運営が可能 業務を効率化し、オペレーターの負担軽減・応対品質の均一化を目指せる機能が組み込まれています。

小規模コールセンターシステムに必要な機能

小規模コールセンターのシステムにはさまざまな機能が搭載されており、コールセンターが抱えている課題を解決したり、業務効率を高めたりすることができます。課題解決や業務効率化に必要な機能としては以下があります。

1. ACD(自動着信振り分け)機能 顧客からの電話を、設定ルールに基づいてオペレーターに自動振り分けする機能です。少人数でも対応の偏りをなくし、均等な負荷分散が可能になります。

2. IVR(自動音声応答)機能 ガイダンスに沿って顧客がプッシュ操作を行い、担当窓口へ直接つながる仕組みです。待ち時間短縮や一次対応の自動化により、顧客満足度が向上します。

3. 顧客情報管理(CRM)機能 顧客の基本情報や過去の問い合わせ履歴を一元管理する機能です。コールセンターシステムとCRMを連携することで、着信時に情報がポップアップ表示され、スピーディーに対応することもできます。

4. 通話録音・分析機能 全通話内容を録音し、トラブル対応・品質管理・教育に活用する機能です。録音内容をもとに、応答率や対応時間などを可視化し、改善に役立てることも可能です。

5. 問い合わせ一元管理機能 電話、メール、チャットなど複数のチャネルからの問い合わせをひとつの画面で管理するための機能です。対応漏れや情報の分散を防ぎ、引き継ぎもスムーズに行えます。

6. トークスクリプト表示機能 オペレーターの画面に適切なトーク例(トークスクリプト)を表示することで、誰でも一定水準の応対が可能になります。新人の早期戦力化や品質の安定化に効果的な機能です。

7. 音声認識・文字起こし機能 通話内容をリアルタイムでテキスト化し、後処理や記録を自動化する機能です。CRMへの自動記録や、発注・確認メールの自動作成などが可能な製品もあり、オペレーターの業務負担を大幅に軽減できます。

8. レポート・分析機能 応対件数・応答率・放棄呼数・稼働時間などを集計し、ダッシュボードに表示するレポート機能です。コールセンターの管理者の業務負担改善に効果的な機能で、数値をもとにした業務改善やシフト調整に活用できます。

9. SMS送信機能 電話対応後の確認・フォローアップ・リンク案内などを、SMSで手軽に送信できる機能です。メールよりも開封率が高く、顧客への確実な情報提供が可能になります。

10. 属人化防止支援 応対履歴やナレッジベースを共有し、情報の可視化・標準化を行うのに役立つ機能です。ベテランに頼らずとも業務をこなせる体制を構築でき、業務継続性と育成効率が向上します。

小規模コールセンターにおいては、限られた人員でいかに効率よく・質の高い応対を継続するかがカギになります。そのためには、上記のような柔軟かつ多機能なシステムを導入することが大切です。

CRM

CRMは、顧客情報や応対履歴を一元管理する機能です。着信時に顧客情報を瞬時に表示し、パーソナライズされた応対を可能にし、応対品質の向上に不可欠です。

CTI

CTIは、電話とコンピューターを連携させる中核機能です。主な機能として、着信ポップアップ、クリックトゥコール、通話録音などがあり、オペレーターの対応時間の短縮と効率化に貢献します。

PBX

PBXは、内線と外線の接続を管理する電話交換機です。クラウド型システムでは、このPBX機能がクラウド上で提供されるため、物理的な機器設置が不要となります。

チャットボット

顧客からの簡単な問い合わせに対し、自動で回答するプログラムです。これにより、オペレーターは複雑な問い合わせに集中でき、入電数の削減と顧客の自己解決促進に役立ちます。

FAQシステム

よくある質問とその回答をデータベース化し、顧客自身やオペレーターが検索・利用できるようにするシステムです。ナレッジの共有を促進し、応対品質の標準化と属人化の解消に貢献します。

SMS送信サービス

電話がつながらなかった顧客や、重要事項の確認が必要な顧客に対し、ショートメッセージ(SMS)で連絡やURLを送る機能です。後追い連絡の効率化や、重要な情報の確実な伝達に利用されます。

IVR/ビジュアルIVR

IVRは自動音声応答で、ビジュアルIVRはスマートフォン画面で視覚的に操作させる機能です。これらにより、入電目的の自動振り分けや、顧客による簡単な情報照会が可能となり、オペレーターへの架電を削減します。

コールセンターシステムの仕組み(CTI・PBX)

CTIとPBXがどのように連携し、電話の着信・発信・ルーティング、および顧客情報表示を実現しているかを理解することは、システムの選定と活用において重要です。クラウド型はこれらの仕組みをインターネット経由で提供し、コスト効率を高めています。

小規模コールセンターシステムを導入するメリット・デメリット

小規模コールセンターシステムを導入するメリット・デメリット

小規模コールセンターにシステムを導入する具体的なメリットについて解説します。また、導入にはデメリットもあるので、メリット・デメリットを踏まえて導入を検討しましょう。

小規模コールセンターシステムを導入するメリット

小規模コールセンターにシステムを導入するメリットとしては以下があります。

・属人化の排除 少人数で運営する小規模コールセンターでは、特定のオペレーターに業務が集中する「属人化」が課題となりがちです。システムを導入することで、トークスクリプトやナレッジ共有機能、対応履歴の可視化が実現され、誰でも同じレベルの対応ができる環境が整います。これにより、新人の早期育成や引き継ぎの円滑化が行え、業務品質の標準化につながります。

・業務効率化 音声認識による通話内容の自動文字起こし、CRMとの連携による履歴の自動記録など、手作業で行っていた業務の多くを自動化できます。また、ACDやIVRといった機能によって、適切な担当者への迅速な振り分けが可能となり、対応スピードと正確性が向上します。

・コスト削減 クラウド型のシステムであれば、初期費用やサーバー管理のコストが抑えられ、必要な分だけ機能を利用できます。また、FAQやチャットボットとの連携によって有人対応を減らせるため、オペレーターの負荷軽減・人件費削減にも貢献するでしょう。

・顧客満足度向上 対応品質が均一化されることで、「誰が出ても安心できる」対応を実現しやすくなります。さらに、履歴管理やSMS送信機能により、迅速かつ的確なフォローアップが可能になり、顧客からの信頼獲得と満足度向上につながります。

小規模コールセンターシステムのデメリット

システム導入には以下のようなデメリットもあるため、導入の有無やシステムの選定を慎重に行うことが大切です。

・コストがかかる 特に初めてシステムを導入する場合、月額利用料や設定費用など一定のコストが発生します。ただし、クラウド型を選べばオンプレミスよりも導入負担は小さく抑えられます。

・システムの選定が難しい 市場には多くのコールセンターシステムがあり、自社に最適な機能・価格帯・拡張性を見極めるのは容易ではありません。運用目的や対応チャネルの優先度を整理したうえで、比較検討・無料トライアル活用などを通じて導入判断を行う必要があります。

・オペレーターの教育が必要 新しいシステムに不慣れなオペレーターには、初期の操作研修や運用ルールの理解促進が必要です。マニュアル整備やトレーニング設計に一定の手間がかかりますが、それによりスムーズな定着と応対品質の向上が期待できます。

小規模コールセンターにシステムを導入することで、業務の標準化・効率化・コスト抑制・顧客満足度向上といった複数の効果が得られます。ただし、導入・運用にはコストや教育などの負担も伴うため、目的を明確にしたうえで自社に合ったサービスを選定することが重要です。

オペレーターの負担軽減

CTIによる着信ポップアップやCRM連携により、顧客検索や情報入力の時間が削減され、オペレーターの肉体的・精神的な負担が大幅に軽減されます。

属人化の解消・防止

FAQシステムや通話録音機能により、応対ノウハウがシステム内に蓄積・共有されるため、特定のオペレーターに知識が集中することを防ぎ、属人化を解消・防止します。

離職防止・人材定着率の向上

業務の効率化と負担軽減は、オペレーターのストレスを減らすことに直結し、働きやすい環境を整備することで、離職率の低下と人材の定着率向上につながります。

応対品質の向上

CRMの情報やFAQに即座にアクセスできることで、誰でも均一で正確な情報を提供できるようになり、応対品質が安定・向上します。

コールセンター業務の改善

システムが自動で収集するデータ(応答率、放棄呼率、平均処理時間など)を分析することで、ボトルネックや課題を可視化でき、データに基づいた継続的な業務改善が可能になります。

事業拡大への対応

クラウド型システムであれば、オペレーター数や機能の追加が容易なため、将来的な事業拡大や入電数の増加に対し、柔軟かつ迅速に対応できる基盤が構築されます。

小規模コールセンターシステムの選び方のポイント

小規模コールセンターに導入するシステム選びのポイントをご紹介します。システムの選定を誤ると、思ったような効果が得られない可能性もあるので、十分に注意してシステムを選定しましょう。

事業内容に適した機能

まず確認すべきは、自社の業務フローや目的にフィットする機能が搭載されているかです。営業発信が多い場合は、「発信リスト管理やプレディクティブダイヤルといったアウトバウンド特化機能」、問い合わせ対応が中心の場合は、「ACD、IVR、CRM連携などのインバウンド機能」が重要になります。

また、「属人化」「履歴管理の手間」「対応品質のばらつき」など、自社の抱える課題に対して効果的な機能があるかをチェックしましょう。

柔軟性と拡張性

小規模コールセンターといえど、将来的な成長や変化に柔軟に対応できる設計かどうかは重要です。最初は基本機能だけで始めて、チャットボット・SMS通知・ボイスボットなど、業務の拡大に応じて機能を追加できるシステムがよいでしょう。

また、FAQページ、LINE・メール・Webチャットなど複数チャネルとの連携に対応していれば、営業時間外の自動対応や顧客利便性の向上にもつながります。

自動化に便利な、音声認識・自動応答(AI電話サービス)・ナレッジ生成など、生成AIや音声AIが活用できるかも確認しておくとよいでしょう。

コンプライアンス遵守

顧客対応業務においては、情報管理や運用ルールの適正さも重要です。まずは、通信の暗号化・アクセス制御・データ保存ポリシーなどが整備されているかを確認しましょう。

PマークやISMS認証の取得状況や、利用規約・プライバシーポリシーの整備状況も確認し、信頼できるベンダーか見極めましょう。また、運用マニュアルやログ管理機能があれば、コンプライアンスを担保しやすい運用体制を築けます。

操作性とサポート体制

少人数での運用では、誰でも使える簡便さと、問題が起きたときの支援体制が重要になります。システムを選定する際には、「UI(ユーザーインターフェース)の使いやすさ」「導入・運用サポートの充実度」「トレーニングや教育支援」といったポイントを必ずチェックしましょう。

小規模コールセンターシステムを選ぶ際は、単にコストや機能数だけでなく、自社業務に合った機能・成長への対応力・セキュリティ・使いやすさを総合的に見て判断することが重要です。特に、少人数運用においては、操作性とサポート体制が現場のストレスや定着率に直結します。比較検討の際は、無料トライアルの活用やベンダーへの質問を積極的に行いましょう。

導入形態の比較(オンプレミス型 vs クラウド型)

オンプレミス型は高額な初期費用とIT管理が必要ですがカスタマイズ性が高く、クラウド型は低コストで導入でき、拡張性に優れます。小規模センターはコストとリソースの観点から、クラウド型が推奨されることが多いです。

費用対効果・料金体系の確認

初期費用、月額費用、オプション費用などを総合的に比較し、システム導入によって得られる効率化効果に見合った料金体系であるかを検証する必要があります。隠れた費用がないか、詳細な見積もりを取ることが大切です。

自社に必要な機能が揃っているか

前述した必要な機能(CTI, CRM, IVRなど)が、自社の課題解決に直結しているか、過不足なく揃っているかをチェックします。

オペレーターが使いやすいか

システムのインターフェースが複雑でなく、オペレーターが迷わず操作できることは、習熟期間の短縮とミスの防止につながるため、デモなどを通じて確認すべきです。

既存システムとの連携性

既に利用しているCRMや基幹システムとスムーズにデータ連携できるかは、情報の一元化と業務効率化の生命線です。連携実績やAPIの提供状況を確認する必要があります。

まとめ

小規模コールセンターにシステムを導入することで、属人化の排除や業務効率化、コスト削減、顧客満足度の向上が期待できます。ただ、システム導入にはメリットだけでなく、デメリットも含まれています。導入時は、自社の課題に合った機能や将来の拡張性、セキュリティ対応、操作性を重視し、最適なツールを選びましょう。

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