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コールセンターにSMSを導入するメリットは?業務効率化のポイントも解説



テクノロジーの進化によって、顧客からの問い合わせに対応するコールセンターでは、電話以外のさまざまな機能が活用されるようになりました。携帯電話番号宛にテキストメッセージを送信するSMSもそのうちのひとつです。この記事では、コールセンターにSMSを導入するメリットのほか、SMSを業務効率化につなげるためのポイントについてご紹介します。
SMS(ショートメッセージサービス)とは?利便性と特徴

SMSとはどのようなツールなのでしょうか?仕組みや利便性、特徴についてご紹介します。
SMSの仕組み
SMSとは、携帯電話の電話番号を宛先として、短いテキストメッセージを送信する機能です。送受信にはインターネット接続を必要とせず、携帯キャリアの通信回線を利用してメッセージを届けます。主に携帯電話・スマートフォン間でやりとりされ、スマートフォンの普及によりビジネス用途でも活用が広がっています。
SMSの特徴は?
SMSの特徴としては以下があります。
・高い到達率・開封率 SMSは、ほとんどの携帯電話で受信可能であり、到達率が非常に高いのが特徴です。また、通信キャリアが実施したアンケート調査によると、約77%の人がSMSを利用しているというデータもあり、多くのユーザーにリーチできる手段となっています。
・即時性と簡潔さ SMSはメールやチャットアプリと比較して、送信後すぐに通知が届くため、即時性に優れています。また、文字数に制限があるため(全角70文字、半角160文字程度)、要点を短くまとめた簡潔な連絡に適しています。
・スパムフィルタにかかりにくい メールと異なり、SMSはスパムフィルタや迷惑メールフォルダに振り分けられにくいというメリットがあります。そのため、重要な通知やリマインド、認証コードの送信などにも広く活用されています。
・他の手段との差別化 メールは未読のまま放置されることもありますが、SMSは通知がポップアップで表示されやすく、見逃されにくい点が強みです。電話と比べても、時間や場所を問わず確認できる点でユーザーにとって手軽です。
このように、SMSには電話やメール、チャット、LINEなどのコミュニケーションツールにはない独自の特徴があり、上手く活用することでビジネスの業務効率化を進めることができます。
SMS活用によるコールセンター業務効率化のメリット

コールセンターのSMS活用としては、定型的なお知らせの通知、電話がつながらなかったときのリマインド、WebページやFAQへの誘導など、さまざまなケースがあります。コールセンターにSMSを導入し、自社に合った活用方法を試すことで、以下のようなメリットが得られます。
応答率向上
電話がつながらなかった場合でも、SMSを使って再連絡を試みることで、顧客との接触率を向上させることができます。たとえば「折り返しのお願い」や「重要なお知らせ」などをSMSで送信することで、顧客に確実に情報を届けられ、折り返しの連絡につながるケースも増加します。このような特性を生かして、コールセンターでは不通率の改善にSMSが活用されています。
業務負担軽減
オペレーターに寄せられる定型的な問い合わせや確認事項に対し、SMSでWebページやFAQページへ誘導することで、電話対応の手間を大幅に減らすことが可能です。たとえば、よくある質問への対応や申込手順の案内などをSMSで送信し、顧客自身で解決してもらう流れを作ることで、コールセンター全体の稼働負荷を軽減できます。SMSによるWeb誘導によって、入電率を抑え、オペレーターの負担を軽減したり、少ないオペレーターでの稼働を実現したりすることができます。
顧客満足度向上
ヘルプページやサービス予約ページへのリンクをSMSで送ることで、顧客は自分のタイミングでスムーズに情報へアクセスできるようになります。電話での問い合わせにストレスを感じる顧客も少なくないため、SMSで案内を素早く送信し、自身で解決できるように促すことで、顧客満足度の向上効果が見込めます。
SMSをコールセンターに導入するときのポイントは?

コールセンターにSMSを導入することで、ご紹介したようなさまざまなメリットを得ることができます。ただし、解決したい課題を明確にし、それに合わせてSMSの導入方法を検討しないと、上手く導入の効果が得られない可能性があります。SMS導入の効果を最大化するためにも、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
顧客認知の事前準備
SMSを活用した通知や案内を行う場合、事前に顧客へ「SMSを活用して連絡を行うこと」を明示することが非常に重要です。 突然のSMSに不信感を抱かせないためにも、安心・信頼を醸成する導入準備が不可欠です。導入に合わせて、以下のような施策を検討しましょう。
・Webサイトにおける告知 「当社では、ご連絡手段としてSMSを使用することがあります」など、FAQや問い合わせページなどに事前に明記しておくとよいでしょう。
・オペレーターからの事前案内 電話応対の際に、「ご案内をSMSでお送りいたします」とひと言添えるだけで、SMSの受信に対する心理的ハードルが大きく下がります。
適切なメッセージ設計
SMSは短文であるがゆえに、内容の伝達力と信頼性がとても重要です。メッセージの設計次第で、顧客の反応や満足度が大きく変わります。SMSのメッセージを考える際には、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
・簡潔で明確な文章を心がける SMSは文字数制限があるため、要点だけをシンプルにまとめたメッセージ設計が求められます。例として、「〇〇の件でご案内です。下記リンクをご確認ください。」といった構成が効果的です。
・安心感を与える要素を含める リンク先が自社ドメインであることを明記したり、「ご不明点があればお電話ください」といったサポートの連絡先を添えたりすることで、フィッシングや詐欺SMSと誤解されにくくなります。
コンプライアンス遵守
SMSを業務に導入する際には、法令や社内ガイドラインの遵守が不可欠です。顧客の個人情報を扱う場面では、細心の注意を払いましょう。
・プライバシー保護の徹底 SMSには個人情報(氏名や契約内容など)を極力含めず、必要最小限の情報で構成することが基本です。URLを活用する場合も、リンク先で本人認証を行うなど、情報漏洩リスクを最小限に抑える工夫が求められます。
・顧客の同意取得 あらかじめSMSによる通知に同意を得ておくことは、特定電子メール法などの関連法規にもとづくコンプライアンス対応として重要です。申込み時や利用規約への明記、同意チェック欄の設置などを行いましょう。
SMSは利便性が高い一方で、正しく設計・運用しないと逆に顧客不信につながるリスクもあります。導入時には、上記3点をしっかりと整備したうえで運用をスタートさせましょう。
業務効率化を推進!SMS連携以外の選択肢は?

コールセンターの業務効率化を推進するうえで、SMSの導入は非常に大きな効果を発揮します。しかし、コールセンターのさらなる効率化・自動化を希望する場合は、その他のテクノロジーやツールを活用するのもおすすめです。ここでは、SMS連携以外で業務効率化に活かせるテクノロジーやツールをご紹介します。
AIやチャットボット
近年、コールセンター業務における自動化・効率化の手段として注目されているのがAIやチャットボットです。これらのツールを導入することで、24時間対応やパーソナライズされた案内が可能となり、業務効率化に大きく寄与します。具体的な活用例としては以下があります。
・チャットボットによる自動対応 FAQや定型的な問い合わせに対し、チャット形式で自動応答する仕組みです。顧客が求める情報にすばやくアクセスできるため、一次対応の代替手段として有効です。
・AIによるパーソナライズ対応 AIは過去の問い合わせ履歴や属性情報をもとに、顧客ごとに最適な回答や提案を行うことが可能です。たとえば、契約更新時期の案内や利用状況に応じたサービス提案など、より高度なコミュニケーションの自動化が実現できます。
・SMSとの組み合わせも可能 チャットボットのリンクをSMSで送付するなど、SMSとAI・チャットボットを組み合わせることで、さらに高い効率化・満足度向上が期待できます。
ビジュアルIVR
ビジュアルIVRとは、電話応答のメニューを音声ではなくスマートフォンの画面上で視覚的に表示する仕組みです。このようなテクノロジーを活用することで、ユーザーがタップ操作で直感的に目的の情報にたどりつけるようになります。コールセンターでのビジュアルIVRの活用方法としては以下があります。
・Webフォームやナビゲーションへの誘導 ビジュアルIVRを通じて、顧客をFAQページや申込フォーム、チャット窓口などにスムーズに誘導できるため、オペレーターにつなぐ前に多くの問い合わせが自己解決されます。
・通話不要で自己解決率アップ 電話での待ち時間や案内の聞き取りづらさを回避できるため、顧客ストレスの軽減にもつながり、顧客満足度と解決率が向上します。
・既存のIVRシステムと連携可能 IVRとは、音声自動応答システムのことです。IVRからURLをSMSで送信し、ビジュアルIVRへ誘導することで、既存の音声案内を進化させる運用も可能です。
まとめ
SMSの導入は、コールセンターの応答率向上や業務負担の軽減、顧客満足度の向上に貢献します。事前告知やメッセージ設計、法令順守など導入時のポイントを押さえることで効果を最大化できるので、導入を検討している方は、今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。また、さらなる自動化・効率化を推進するのであれば、AIやビジュアルIVRとの連携も効果的です。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
