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カスタマーサポートとコールセンターの違いは?役割や導入のポイントを解説



「顧客対応のための部門を準備したいが、カスタマーサポートとコールセンターはどのような違いがあるのだろう?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
そこで今回は、カスタマーサポートとコールセンターの違いのほか、それぞれの役割や導入のポイントについてご紹介します。
「設置する目的や役割」「業務内容とコミュニケーション」の2つの項目に分けてそれぞれの違いを解説するのでぜひご確認ください。
カスタマーサポートとコールセンターの違い①設置する目的や役割

カスタマーサポートとコールセンターの設置する目的や役割の違いについて解説します。
カスタマーサポートとは?
カスタマーサポートは、主に既存顧客を対象としたサポート部門であり、商品やサービスの使用中に発生する問題や疑問に対して対応する役割を担います。
顧客からの問い合わせ、クレーム、トラブルへの対応を通じて、顧客満足度の向上を図るとともに、信頼関係を築き、長期的な関係性の構築を目指すのが特徴です。
また、カスタマーサポートでは、単に問題を解決するだけでなく、アフターフォローやアドバイスを行うことで、顧客のロイヤルティを高め、リピート購入や継続利用の促進にもつながる重要な役割を担っています。
コールセンターとは?
コールセンターはカスタマーサポートよりも対応対象が広く、既存顧客に加えて新規顧客や見込み顧客にも対応します。
主に電話を中心としたチャネルで対応を行い、商品やサービスに関する問い合わせ対応や申し込み受付といったインバウンド業務に加え、キャンペーン案内や営業電話といったアウトバウンド業務も含まれることが一般的です。
そのため、コールセンターは業務の効率性が重視され、多くの問い合わせに迅速かつ正確に対応する体制が求められます。
特定の顧客への深いフォローよりも、広範な顧客層への電話対応が中心となる点が、カスタマーサポートとの大きな違いといえるでしょう。
カスタマーサポートとコールセンターの違い②業務内容とコミュニケーション

次にカスタマーサポートとコールセンターの違いを「業務内容とコミュニケーション」という観点から解説します。
カスタマーサポートの業務内容
カスタマーサポートは、顧客の課題や困りごとに寄り添い、解決へ導くことが主な役割です。
対応手段は電話に限らず、メール・チャット・SNS・Webフォームなど、顧客の利便性を考慮したマルチチャネル対応が進んでいます。
さらに近年では、チャットボットやAIによる自動応答の導入が進み、顧客自身が問題を解決できるセルフサービス型のサポート体制も一般的になってきました。
カスタマーサポートは、これらの多様なチャネルを駆使して、一人ひとりの顧客に合った最適なコミュニケーションを実現することで、満足度の向上と信頼関係の構築を図っています。
コールセンターの業務内容
コールセンターは、電話対応を中心とした業務が基本となる部門です。 業務は大きく分けて以下の2種類に分類されます。
- インバウンド業務(受信):商品・サービスに関する問い合わせ、申し込み、クレーム対応など
- アウトバウンド業務(発信):キャンペーンの案内、テレアポ、アンケート調査など
業務内容はあらかじめマニュアル化・標準化されていることが多く、オペレーターはその指針に沿って対応するため、大量の問い合わせにも効率的に対応できるという利点があります。
基本は電話による対応ですが、最近では必要に応じてメールやチャットなどのチャネルを併用するケースも増えており、柔軟な顧客対応が可能になっています。
また、業務内容によって異なりますが、一般的にカスタマーサポートに比べると、対応の深さよりもスピードや件数の処理能力が重視される点が特徴です。
カスタマーサポートとコールセンターはどう区別する?

ここまで、カスタマーサポートとコールセンターの主な違いについて解説してきましたが、具体的にどのような区別が可能なのでしょうか?以下の3つの観点から紹介します。
ターゲットが異なる
カスタマーサポートの主な対象は既存の顧客です。商品やサービスをすでに利用しているユーザーからの問い合わせやトラブルに対応し、満足度向上や継続利用の支援を行うことが目的です。
一方、コールセンターのターゲットには既存顧客だけでなく、新規顧客や潜在顧客も含まれます。
特にアウトバウンド業務では、まだサービスを利用していない見込み客にアプローチすることも多く、販促や営業支援の役割も担います。この点が、両者の大きな違いと言えるでしょう。
業務形態の違い
カスタマーサポートは基本的にインバウンド型(受信対応)の業務が中心です。顧客からの問い合わせを受け、問題を解決する受動的なサポート体制をとっています。
一方でコールセンターは、インバウンドとアウトバウンドの両方に対応する部門です。 (※実際は、企業に業務形態に合わせて、インバウンドに特化したコールセンター、アウトバウンドに特化したコールセンターと役割が分かれているのが一般的)
問い合わせ受付や注文処理などの受信業務に加えて、営業電話や調査、リマインド連絡といった発信業務も行います。
対応の幅が広いため、業務フローや管理方法もより多様になります。
活用するシステムの違い
カスタマーサポートでは、電話やメールに加えて、チャット、SNS、対面対応といった複数チャネルを活用し、顧客ごとに最適な方法でコミュニケーションを取るのが一般的です。
近年では、チャットボットやFAQシステムを取り入れる企業も増えており、自己解決を促す仕組みも整備されています。
一方、コールセンターはその名の通り、電話による受発信業務が中心です。 通話管理や録音、通話ログの分析などを行うためのCTI(Computer Telephony Integration)システムや、CRMとの連携による効率化が重視されます。
必要に応じてメールやチャットなども併用されますが、中心はあくまで音声通話だといえるでしょう。
【カスタマーサポートとコールセンターの主な違い】
比較項目 | カスタマーサポート | コールセンター |
---|---|---|
ターゲット | 既存の顧客が中心 | 既存顧客+潜在顧客(新規・見込み顧客) |
業務形態 | インバウンド型(受信対応が中心) | インバウンド型+アウトバウンド型(受信+発信の両対応) |
活用チャネル | 電話、メール、チャット、SNS、対面など複数チャネル | 主に電話(必要に応じてチャットやメールも併用) |
主な目的 | 顧客の課題解決・満足度向上・リピート促進 | 問い合わせ対応・情報提供・販促・営業支援 |
使用システム | チャットボット、FAQ、CRM、チケット管理など多機能ツール | CTI、CRM、通話録音・分析など音声通話特化型のシステム |
カスタマーサポートとコールセンターどちらを優先する?

顧客対応に特化した部門を設ける際は、自社の商品・サービスの性質や顧客との関係性に応じて、カスタマーサポートとコールセンターのどちらを優先すべきかを判断することが重要です。
たとえば、操作が複雑なサービスや継続利用が前提となる商品を扱っている企業であれば、顧客満足度や継続率を高めるために、アフターフォロー重視のカスタマーサポートの設置が効果的です。サブスクリプション型サービスやITツールなどがこれに該当します。
一方、単発購入型の商品や、取り扱いが比較的シンプルな製品を提供している企業の場合は、効率的に問い合わせ対応を行うコールセンターの設置が適しています。大量の問い合わせに対し、迅速かつ均質な対応が求められる環境では、マニュアル化された対応がしやすいコールセンターが機能します。
また、キャンペーンの案内やテレアポ、支払督促など、顧客への働きかけを行うアウトバウンド業務を行う場合もコールセンターの設置が望ましいでしょう。
どちらを導入するかは、業種・業務フロー・顧客ニーズ・提供サービスの性質をふまえて検討することが大切です。場合によっては、両者を併設して役割を分担させる形も有効です。
まとめ
カスタマーサポートとコールセンターは、目的・対象・業務内容・使用チャネルにおいて明確な違いがあります。
既存顧客への長期的なサポートや信頼構築を重視するならカスタマーサポート、広範囲かつ効率的な問い合わせ対応や営業活動を重視するならコールセンターが適しています。
自社の商品特性や顧客のニーズに応じて、最適な顧客対応窓口を選択しましょう。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
