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コールセンターマネジメントとは?SVの役割・業務内容・必要なスキルと改善ポイントを解説

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コールセンターマネジメントとは?SVの役割・業務内容・必要なスキルと改善ポイントを解説

コールセンターは、高い離職率や業務負担が大きな業務と言われています。そこで重要なのが、オペレーターの心身をサポートするマネジメント層の役割です。この記事では、コールセンターマネジメントの重要性やマネジメント職であるSVの役割、業務内容、改善に必要なポイントなどについてご紹介します。

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コールセンターのマネジメントとは?主な役職と業務内容

コールセンターのマネジメントとは?主な役職と業務内容

まずは、コールセンターのマネジメントの基本情報についてご紹介します。主な役職やそれぞれの業務内容についてご紹介します。

コールセンターのマネジメントとは?

コールセンターにおけるマネジメントの概要や重要視される理由を解説します。

コールセンターマネジメントとは何か

コールセンターマネジメントとは、オペレーターの行動を管理・指導しながら、業務品質や生産性を安定させ、組織全体のパフォーマンス向上を図る活動です。対応品質に差が出ないよう、教育体制を整え、日々の業務に対するフィードバックを通じてオペレーターを育成するのが主な役割です。

さらに、業務改善やクレーム削減、定着率向上といった複合的な目標を達成するため、マネージャーやスーパーバイザー(SV)が中心となって業務設計や戦略立案も行います。

マネジメントが重要とされる理由

コールセンターは人が中心の業務であるため、個人のスキルや経験、モチベーションの差が応対品質に直結します。対応にばらつきがあると、顧客満足度の低下やクレーム増加、ブランドイメージの毀損にもつながるリスクがあります。

また、オペレーターは日々多くの問い合わせや対応に追われ、ストレスを感じやすい職種でもあるため、離職を防ぐためにも適切なマネジメントが不可欠です。KPI達成のために現場の努力を促しつつ、経営方針との橋渡しを行う存在としても、マネージャーやSVの役割は極めて重要です。

コールセンターのマネジメントを担う役職は?

コールセンターのマネジメントは階層的な役割分担のもとで行われます。以下に代表的な役職とその業務内容を紹介します。

スーパーバイザー(SV)の主な業務

SVは現場の最前線でチームをまとめるリーダー的存在であり、オペレーターの教育・評価・勤怠管理などの「人の管理」と、応対の質を保つための「業務管理」の両方を担います。

クレーム対応や判断の難しい問い合わせなどは、一次対応を引き継いでSVが対応することが一般的です。また、応答率や稼働率の数値を把握し、現場が円滑に機能するようリソース配分やシフト調整も行います。

【SVの業務の具体例】 ・新人オペレーターの応対ログを確認し、週次で個別フィードバック ・対応件数が過多なオペレーターに業務を再配分し、チーム全体の稼働バランスを最適化

マネージャーの立ち位置と役割

マネージャーはSVの統括者であり、センター全体の運営責任を担うポジションです。SVからの現場情報を集約し、KPIの進捗管理、目標設定、業績分析などを行います。

中長期的な戦略の立案や、業務改善の仕組み作り、ツールやシステムの導入判断、外部ベンダーとの交渉など、より経営に近い業務にも関与します。

コールセンターのマネジメント業務の内容は?

コールセンターのマネジメント業務としては、以下のような業務を行うのが一般的です。

オペレーターの育成と指導

対応品質の安定・向上には、継続的な教育が欠かせません。SVはオペレーターの通話やチャット履歴を確認し、良かった点・改善点をフィードバックします。

定期的にロールプレイングや研修を実施することで、実践的なスキルを身につけさせることも重要です。また、個々の性格やスキルに応じて育成方針を柔軟に変えることが、長期的な定着と成長につながります。

【具体例】 ・新人研修で「クレーム対応ロールプレイ」を実施 ・成果が伸び悩んでいるオペレーターに対し、週1回のフォロー面談を実施

業務モニタリングと改善の提案

業務モニタリングは、録音やチャットログ、モニタリングツールを通じてオペレーターの対応状況を確認し、改善点を見つける業務です。

ミスの傾向や対応の遅れなどを分析し、スクリプトやフローの見直しを提案することで、業務全体の質を底上げできます。また、顧客から寄せられる意見やクレームを業務改善に反映させることも重要です。

【具体例】 ・誤案内が多発した製品に関するFAQを更新し、トークスクリプトを修正 ・モニタリング結果をチームミーティングで共有し、対応方針を統一

クレーム・VIP対応などの二次対応

一次対応では難しいケースや感情的なクレーム、要望が高度なVIP顧客への対応は、SVが直接対応することが一般的です。冷静かつ丁寧な対応が求められる場面であり、SVの力量が問われます。

また、これらの二次対応の記録は、ナレッジとして蓄積し、今後のマニュアル改善や教育資料としても活用されます。

【具体例】 ・感情的な顧客対応をSVが代わりに引き受け、トラブルを沈静化 ・VIP対応履歴をもとに、「重要顧客対応マニュアル」を作成

コールセンターマネジメントに必要なスキル

コールセンターマネジメントに必要なスキル

コールセンターのマネジメントには、現場の状況を正確に把握し、スタッフや業務全体を適切に導くための幅広いスキルが求められます。ここでは、特に重要とされる代表的なスキルを紹介します。

コミュニケーション能力

マネジメントの中核となるスキルの一つが、コミュニケーション能力です。SVやマネージャーは、日々さまざまなオペレーターと接し、それぞれの業務状況や心理状態を把握しながら指導・フォローを行います。たとえば、あるオペレーターの発言が少なくなったり、対応スピードが落ちたりした場合、「何か悩みがあるかもしれない」と察して声をかける気配りが求められます。

また、顧客対応においては感情的にならず、丁寧でわかりやすい説明を行うことができる冷静さも重要です。これは、部下が対応に行き詰まった際のフォローにも活きます。

さらに、マネジメントは“情報のハブ”でもあります。上層部からの方針を現場に伝えたり、現場の声を経営層へ届けたりと、組織内の情報共有の潤滑油として機能することも、信頼されるマネージャーに欠かせない役割です。

課題発見力と判断力

業務が円滑に進んでいるように見えても、水面下ではさまざまな問題が進行している場合があります。マネジメントには、その兆候をいち早く察知し、的確に対応する力が必要です。

たとえば、応答率は高いのに顧客満足度が低下しているとしたら、「対応は早いが、質に問題があるのでは」といった仮説を立て、録音内容の分析や顧客アンケートの確認を行います。こうした課題の背景にある“原因”を読み解くには、数値と現場感覚を両立させた視点が求められます。

そのうえで、改善のためにどのような施策を打つか判断し、速やかに実行へ移すことがマネージャーの腕の見せどころです。状況に応じて方針を柔軟に変更する判断力も、変化の多いコールセンターにおいては欠かせません。

統率力・管理能力

複数のオペレーターをまとめ、チームとして成果を出すためには、明確なビジョンと的確な指示を出せる統率力が求められます。マネージャーは単なる指示役ではなく、チームの目標を明確に示し、メンバーの意欲と能力を引き出すリーダーシップが必要です。

また、応対品質・応答率・稼働率などのKPIを定期的に確認・分析し、必要に応じてシフト調整や人員配置の見直しを行う管理能力も問われます。

属人的な動きに頼るのではなく、チーム全体で安定した成果が出せるように、業務フローやツールの整備も含めて“仕組みで動かす”視点を持つことが大切です。

マネジメントを円滑に進めるためのポイント

マネジメントを円滑に進めるためのポイント

コールセンターにおけるマネジメントをスムーズに行うためには、現場の状況を的確に把握し、チーム全体を同じ方向へ導くための工夫が必要です。

業務効率の向上だけでなく、オペレーターの働きやすさや成長にも配慮することが、継続的な成果につながります。

現状を可視化し、ゴールを明確にする

まずは、センターの現状を「見える化」することが出発点です。応答率、平均通話時間、一次解決率、クレーム件数など、業務の質や量を示す数値指標を定期的に確認し、傾向を把握します。

たとえば「応答率が前月より5%低下している」といった変化があれば、その原因を探る必要があります。

可視化されたデータをもとに、「来月までに応答率を90%以上に戻す」などの具体的なゴールを設定し、メンバーと共有しましょう。目標は曖昧ではなく、数値化された“測定可能な指標”であることが重要です。

【現状の可視化と目標設定の例】 現状:「平均対応時間が6分台に長引いている」 目標:「5分以内に短縮し、オペレーターの負荷軽減と顧客満足度向上を図る」 アクション:「トークスクリプトの見直し」「応対に時間がかかるケースの洗い出し」などを実施

このように、目標設定とアクションを明確に結びつけることで、チームが同じ方向に進みやすくなります。

PDCAサイクルを継続的に回す

効果的なマネジメントの基本は、PDCAサイクルの実践にあります。

  • Plan(計画):KPIや改善目標を設定し、実施内容やスケジュールを決める
  • Do(実行):計画に沿って実際の業務改善を行う
  • Check(確認):結果を分析し、成功点・課題点を振り返る
  • Act(改善):次回に向けた改善策をまとめ、再び計画を立てる

このサイクルを定期的に回し、習慣化することが現場の“改善力”を高めます。

【PDCAサイクルの例】 ・Plan:新人の一次対応率を2週間で70%以上にする ・Do:FAQ研修とロールプレイングを強化 ・Check:目標達成状況と、未対応のケースを確認 ・Act:対応困難だった問い合わせパターンを集め、対応マニュアルを拡充

特にKPI(Key Performance Indicator)は数値的根拠として使いやすいため、「応答率」「放棄呼率」「対応品質スコア」などを活用し、進捗を可視化しましょう。

心のケアやモチベーション管理

数値だけでは語れないのが、現場で働くオペレーターの「気持ち」や「状態」です。コールセンター業務は精神的負荷が大きく、ストレスを放置すると離職やパフォーマンス低下につながります。

マネージャーやSVは、スタッフ一人ひとりに対して「観察・声かけ・対話」を意識しましょう。たとえば、明らかにミスが増えているスタッフには、「最近、体調や業務に困っていることはない?」とさりげなく聞いてみるだけでも、安心感が生まれます。

【心のケアやモチベーション管理の具体策】 ・定期的な1on1ミーティングを実施(業務+個人の悩みを聞く場として) ・毎月のMVP制度やありがとうメッセージ掲示板などを活用し、成果を見える形で評価 ・「声のかけ方」「褒め方」のバリエーションを持ち、タイプに応じたコミュニケーションをとる

ちょっとした声かけや評価が、日々のモチベーションに大きく影響することを忘れてはいけません。数字と人の両面に目を配ることが、マネジメントの本質です。

マネジメントの強化にはコールセンターシステムの導入を

マネジメントの強化にはコールセンターシステムの導入を

コールセンターのマネジメントをより効率的かつ高精度に行うためには、人のマネジメント力に加え、専用のシステムを活用することが欠かせません。

進捗の可視化、応対品質の向上、顧客情報の蓄積といった要素をシステムで一元管理することで、チーム全体の生産性と顧客満足度の向上を同時に実現できます。ここでは、マネジメント強化に効果的な主な機能を紹介します。

進捗管理機能で売上や対応効率を最大化

進捗管理機能を活用することで、オペレーターごとの対応件数や対応ステータスをリアルタイムで把握できます。たとえば、「保留中の案件が多く、対応が滞っている」「コールバック予定の顧客に未対応」といった状況を一目で確認でき、即座にフォロー指示を出すことが可能です。

また、営業系や受注系のコールセンターでは、商談進捗や売上ステータスの可視化にも有効です。オペレーター単位・案件単位の売上予測や未対応リストを管理することで、業績の最大化にもつながります。進捗管理の方法としては以下があります。

【進捗管理の方法と活かし方】 ・Aさんの対応リストに3件の保留案件が残っているため、Bさんに分担を指示 ・今月の売上見込みが未達なので、架電優先リストを再編成

顧客管理機能で満足度の見える化が可能に

顧客管理(CRM)機能を使えば、過去の対応履歴やクレーム内容、満足度アンケートの結果などを顧客ごとに一元的に管理できます。これにより、「このお客様には過去に同様の問い合わせがある」「最近クレームが続いている」など、よりパーソナライズされた対応が可能になります。

顧客の問い合わせ回数や対応満足度、アンケート結果などをデータとして蓄積・分析することで、業務改善のヒントも得られます。さらに、VIP顧客への対応やリピーター育成の戦略にも役立ちます。

モニタリング機能でリアルタイムの指導ができる

コールセンターシステムには、オペレーターの通話内容をリアルタイムでモニタリングできる機能が搭載されています。これにより、対応中の通話を上司やSVがこっそりと聞くことができ、オペレーターが困っている場面や対応ミスをその場で察知・フォローできます。

また、後日まとめて録音内容をチェックするよりも、リアルタイムでアドバイスを出せる分、教育効果が高く、応対品質の底上げにも直結します。ミスを減らすだけでなく、好事例の発見やナレッジ共有にも活用できます。

まとめ

コールセンターのマネジメントは、単なる人員管理や業務の進捗確認にとどまらず、「顧客満足度の向上」と「スタッフの働きやすさの両立」という二重の課題に対応する重要な役割を担っています。

そのためには、コミュニケーション力・課題発見力・統率力といったマネジメントスキルに加え、現場の可視化、改善サイクルの継続、スタッフの心のケアといった実務的な取り組みも欠かせません。

一方で、「マネージャーやSVのリソースが足りない」「教育・品質管理に手が回らない」「成果が安定しない」といった課題を抱えている場合は、アウトソーシング(BPO)サービスの活用も有効です。運営そのものを専門企業に委託することで、ノウハウや体制の不足を補い、品質・コスト・スピードのバランスを保った運用が可能になります。

社内マネジメントの強化と、外部リソースの活用を柔軟に組み合わせることで、コールセンターはより安定的で高品質な顧客対応の体制を築くことができます。継続的な改善を前提に、最適な体制づくりを目指しましょう。

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