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FAQシステムとは?コールセンターでの活用方法と導入メリットを徹底解説



コールセンターにFAQシステムの導入を検討している方も多いでしょう。ここでは、FAQシステムの活用方法や導入のメリットについてご紹介します。FAQシステムの効果や活用方法について知りたいという方はぜひご確認ください。
FAQシステムとは?その役割とコールセンターでの重要性

FAQシステムの役割やコールセンターにおける重要性について解説します。
FAQシステムの基本的な定義と特徴
FAQシステムとは、「よくある質問(Frequently Asked Questions)」とその回答をまとめ、体系的に管理・公開できるシステムを指します。
コールセンターやカスタマーサポートの現場でよく活用され、よくある問い合わせとその回答をデータベース化することで、質問に対して迅速に検索・参照することができます。
また、HPなどにFAQシステムを組み込むことで、顧客が自己解決できるため、問い合わせの手間が省くことができます。
コールセンターでのFAQシステムの効果
コールセンターでは、同じような質問が日々繰り返し寄せられるケースが多くあります。FAQシステムを導入することで、以下のような効果が得られます。
【FAQシステムの効果】
- 応対負担の軽減:基本的な質問はFAQで自己解決でき、オペレーターの負荷を大きく減らせる
- 対応の均質化:誰が対応しても同じ回答ができるため、サービスの品質が安定する
- 応対時間の短縮:FAQを参照することで、回答までのスピードが格段に向上する
- コスト削減:対応件数や時間が減ることで、人件費の抑制につながる
- 顧客満足度の向上:素早く正確な回答を得られることで、顧客の利便性と満足度が高まる
従来のマニュアルやナレッジベースとの違い
従来のマニュアルやナレッジベース(社内用資料)とFAQシステムの主な違いは以下の通りです。
項目 | 従来のマニュアル・ナレッジベース | FAQシステム |
---|---|---|
利用対象 | クローズドな環境が多い | Web上での公開が可能 |
アクセス性 | 社内の従業員向け | 顧客と従業員の双方 |
検索性 | キーワード検索に弱い場合がある | 自然文検索やタグ分類で探しやすい |
更新性 | 改訂に時間がかかる | 管理画面から簡単に即時更新が可能 |
UI/UX | 仕様によってさまざま | FAQ形式で簡潔に表示される設計 |
FAQシステムは、顧客とオペレーターが「同じ情報源にアクセスできる」点で、より開かれた情報共有の仕組みといえます。
FAQシステムの主な機能とコールセンターでの活用法

FAQシステムの主な機能とコールセンターにおける活用方法についてご紹介します。
FAQシステムの主な機能
FAQシステムは、顧客対応や社内ナレッジ共有を効率化するためのさまざまな機能を備えています。主な機能は以下の通りです。
・質問と回答の登録・編集・管理機能 管理画面から、FAQの追加・編集・削除が簡単に行えます。情報の更新もリアルタイムで反映でき、常に最新の内容を提供できます。
・カテゴリ分けやタグ付けによる情報整理 質問の内容に応じてカテゴリ分類やタグを付けることで、検索性と閲覧性を向上させます。大量の情報でも、必要な情報にすぐアクセス可能です。
・検索機能(全文検索・キーワード検索) 入力されたキーワードに応じて関連する質問・回答を表示します。自然検索に対応しているシステムもあり、検索エンジンを扱うように直感的に操作できるシステムもあります。
・アクセス解析 どのFAQがよく見られているか、閲覧数や離脱率を可視化します。人気の質問や改善すべき情報を特定できます。
・利用状況のレポート機能 FAQの利用頻度、検索ワード、未解決率などを定期的にレポートとして出力でき、運用改善やコンテンツ追加の参考になります。
・多言語対応やマルチデバイス対応 グローバルやモバイルユーザーにも対応し、スマートフォンやタブレットなど複数のデバイスで快適に利用できます。
・AIによる自動提案やチャットボット連携 AIが問い合わせ内容から関連するFAQを自動で提案したり、チャットボットとの連携で自動応答を実現したり、質問と回答のプロセスをさらに効率化できるシステムもあります。
コールセンターでのFAQシステムの具体的な活用方法
コールセンターにおいてFAQシステムは、業務効率化やサービス品質向上に大きく貢献します。以下のような形で活用されています。
・オペレーターによる即時検索と回答 応対中にFAQを検索し、迅速かつ正確な回答を提供します。応対時間の短縮や情報のばらつき防止に効果的です。
・問い合わせ内容のナレッジ化と共有 顧客から寄せられた質問をFAQに反映させることで、同様の問い合わせ対応を効率化します。ナレッジが蓄積され、全体の対応力が向上します。
・利用データの分析による業務改善 よく参照されるFAQや検索されるキーワードを分析し、対応業務の改善ポイントを把握します。FAQの質向上や業務フローの見直しに役立ちます。
・セルフサービス環境の提供 Webサイトやアプリと連携し、顧客自身がFAQを検索して問題解決できる環境を整備します。電話やメールでの問い合わせ件数削減にもつながります。
FAQシステム導入のメリットとデメリット

では、FAQシステムをコールセンターに導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?メリットとデメリットについてくわしくご紹介します。
FAQシステム導入のメリット
FAQシステムをコールセンターに導入するメリットとしては以下があります。
コールセンターの業務効率化とオペレーター負担軽減
FAQシステムを導入することで、オペレーターがマニュアルや資料を都度確認する必要が減り、応対スピードが大幅に向上します。
また、よくある質問への回答が事前に整備されていることで、対応のばらつきを防ぎ、サービス品質の均一化にもつながります。
新人オペレーターにとっても、FAQを活用した自己学習やOJTがしやすくなり、教育コストや育成期間の短縮も可能になるでしょう。
顧客満足度の向上とコスト削減顧客満足度の向上とコスト削減
顧客が自らFAQを参照し、問題を解決できるセルフサービス環境が整えば、問い合わせ件数の減少につながります。
その結果、コールセンターの負荷軽減や対応時間の短縮が図れ、対応品質の向上に貢献します。
迅速な対応は顧客満足度の向上につながり、継続利用やポジティブな口コミによる集客効果も期待できるでしょう。
ナレッジの蓄積と業務改善
FAQシステムは、問い合わせの履歴や回答内容をデータとして蓄積できるのが特徴です。
蓄積されたナレッジを分析することで、問い合わせの傾向を把握し、業務プロセスや製品・サービスの改善に役立てることもできます。
また、部署間の情報共有が促進されることで、組織全体での知識管理がスムーズに進み、属人化の解消にも良い影響をもたらすでしょう。
FAQシステム導入のデメリット
FAQシステムをコールセンターに導入するデメリットについて解説します。
コストがかかる
FAQシステムには無料で使えるものもありますが、業務に本格的に活用するには有料のシステムを導入するケースが多く、初期費用や月額料金などのコストが発生します。
導入を検討する際は、自社の規模や運用体制に適した機能が揃っているかを確認し、必要な予算を把握することが重要です。
更新の手間がかかる
顧客からの問い合わせ内容は日々変化し続けるため、それに対応するFAQの情報も定期的な更新が求められます。
特に質問内容が多岐にわたる場合、内容の見直しや追加作業が煩雑になりがちです。FAQシステムの更新業務を効率化するためには、担当者の明確化や運用フローの整備が不可欠です。
顧客の疑問をすべて解決できる訳ではない
FAQは、あくまでも「想定される質問と回答」をもとに構築されるため、すべての問い合わせに対応できるわけではありません。
顧客によっては、FAQだけでは疑問が解決せず、別のサポート手段を必要とする場合もあります。 そのため、FAQで解決できなかった顧客をスムーズにチャットボットや有人サポートへ誘導する導線の設計が重要です。
FAQシステムは導入のメリットが非常に大きなツールですが、このようなデメリットもあります。デメリットを踏まえて導入の準備、システムの選定・運用を行うことで、より大きな効果を得ることができるので、メリットが大きくなるように慎重に導入を進めましょう。
FAQシステム導入時の注意点と成功のポイント

最後にFAQシステム導入時の注意点や成功のポイントを解説します。以下のポイントに注意して導入・運用を行うことで、導入後の成果をより得やすくなるでしょう。
自社の問い合わせ内容や業務フローに合った設計が重要
FAQシステムは単に「よくある質問」を並べるだけでなく、自社の業務フローや問い合わせ傾向に応じて最適な構成を設計することが不可欠です。
カテゴリ分けやタグ付けを適切に行い、情報を整理することで検索性が向上し、オペレーターや顧客が必要な情報へ素早くアクセスできるようになります。
また、情報整理だけでなく見やすくわかりやすいUI/UXを設計し、使いやすくすることも大切です。
ナレッジの更新・メンテナンス体制の構築
FAQの内容は一度作成して終わりではなく、常に最新の情報へ更新し続けることが求められます。
古い情報のまま放置すると、誤案内や顧客不満につながる可能性があるため、更新・管理の役割を明確にし、定期的な点検・改善のサイクルを運用に組み込みましょう。
オペレーターの活用促進と教育
FAQシステムを有効に活用するには、オペレーターへの周知と活用トレーニングが欠かせません。
導入初期は、研修やマニュアルの整備により、オペレーターが自信を持ってFAQを参照・活用できるようにサポートしましょう。
また、FAQの利用状況を定期的に分析し、実際の業務でどのように活かされているかを把握した上で、さらなる改善を加えていくことが大切です。
セキュリティや権限管理の徹底
FAQには、社内業務に関するノウハウや顧客対応情報が含まれることもあるため、情報管理には細心の注意を払いましょう。
「社内向けと顧客向けのFAQを分けて運用する」「閲覧・編集権限をユーザーごとに設定する」「システムへのアクセスログを記録する」など、セキュリティポリシーに則った運用を徹底してください。
既存システムとの連携性の確認
FAQシステムをより効果的に活用するには、CTIやCRM(顧客管理システム)、Webサイトなどと連携させることが望まれます。
顧客とのやり取り履歴や問い合わせ傾向とFAQを紐付けることで、情報の一元管理が実現し、対応の精度とスピードが向上します。
導入前には、既存システムとの互換性やAPI連携の可否などを確認しておくことが重要です。
導入後の効果測定と継続的な改善
FAQシステムを導入した後は、その効果を定量的に測定し、継続的な改善につなげることが求められます。
たとえば、「問い合わせ件数の減少率」「FAQの閲覧数」「顧客満足度調査の結果」「オペレーターの業務負担の変化」など、複数の指標を活用して効果を把握しましょう。
効果が見えづらい場合は、FAQの構成や内容、検索性の見直し、必要であれば新機能の追加など、柔軟な改善を行うことが成功のポイントとなります。
まとめ
FAQシステムは、コールセンター業務の効率化と顧客満足度の向上に貢献する強力なツールです。
「オペレーターの負担軽減や応対品質の均一化」「ナレッジの蓄積・活用」など、導入によって得られるメリットは多岐にわたります。
また、顧客自身による自己解決を促すことで、問い合わせ件数の削減やコストの最適化にもつながります。
ただし、導入にあたっては自社の業務フローに適した設計や、更新体制、既存システムとの連携性など、慎重な準備が必要です。デメリットや注意点を踏まえて、慎重に導入を進めましょう。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
