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コールセンターのエスカレーションとは?スムーズな対応に必要な仕組みと運用ポイント

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コールセンターのエスカレーションとは?スムーズな対応に必要な仕組みと運用ポイント

コールセンターの運営をスムーズにするうえで、エスカレーションの仕組みを構築することは非常に重要です。この記事では、エスカレーションの目的やフローの設計、運用のポイントについてご紹介します。

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コールセンターのエスカレーションとは?その定義と目的

コールセンターのエスカレーションとは?その定義と目的

コールセンター業務では、オペレーターがすべての問い合わせに対応できるとは限りません。特に、複雑な案件や判断が求められる場面では、上位担当者への引き継ぎ=エスカレーションが重要な役割を果たします。ここでは、エスカレーションの基本的な概念と、その目的について解説します。

コールセンターのエスカレーションとは?

エスカレーションとは、コールセンターで一次対応を行ったオペレーターが、自分の判断や対応範囲では解決が難しいと判断した問い合わせやトラブルについて、上長や専門部署に正式に引き継ぐ仕組みです。

この仕組みは、「新人オペレーターや判断権限の少ないスタッフが対応困難な場合」「クレーム対応」「価格交渉や契約条件の調整」「専門的・技術的な問い合わせへの対応」など、インバウンド・アウトバウンドを問わずに発生します。

このエスカレーションを適切に行うことで、顧客対応の質を落とさず、スムーズな問題解決につなげることができます。

エスカレーションの主な目的

エスカレーションの導入・活用には、以下のような目的があります。

・オペレーターの負担軽減と判断ミスの防止 対応が困難な案件を無理に処理しようとすると、ミスや誤解を招きかねません。エスカレーションによって、無理のない範囲で対応を分担することで、オペレーターの心理的負担を軽減し判断ミスを防ぎます。

・顧客への迅速・適切な対応維持 対応に迷ったり、曖昧な案内をしてしまったりする前に、適切にエスカレーションすることで、顧客が必要とする情報や解決策を提供でき、顧客満足度の低下を防ぐ効果が期待できます。

・トラブルの早期解決とブランド信頼性の強化 トラブルやクレームに対して的確なエスカレーションが行われれば、問題の早期解決につながり、企業やブランドに対する信頼感も維持・向上します。特に、重大な案件ほどエスカレーションのスピードと適切さが求められます。

コールセンターでエスカレーションが必要となる主なケース

コールセンターでエスカレーションが必要となる主なケース

ここでは、コールセンターでエスカレーションが必要となる主なケースについて解説します。

オペレーター権限外の要望(値引き交渉・特別対応など)

顧客からの要望がオペレーターの権限を超える場合は、速やかに上位者へエスカレーションすることが必要です。

例えば、「大口注文だから割引してほしい」「今回だけ特例で対応してくれ」といった、通常対応を超える特別対応の要求は、オペレーターの判断だけでは応じられません。

このような場面でスムーズにエスカレーションできるよう、オペレーター権限の範囲を明確に定め、マニュアル化しておくことが効果的です。

クレームやトラブル(感情が高ぶる・収拾困難なケース)

顧客の感情が高ぶり、通常の会話では収拾が難しい場合もエスカレーションが求められます。

「怒りを露わにしたり、泣いたりしている」「長時間にわたる苦情を続けている」「責任者を出せと強く求められる」といったケースでは、一次対応を続けることで事態がさらに悪化するリスクがあるため、上長に速やかに引き継ぎ、冷静に対応することが重要です。

深刻な技術的・専門的問題(システム障害・法的対応など)

製品やサービスに関する専門的な問題が発生した場合、その分野の担当部署や専門スタッフへのエスカレーションが必要です。

例えば、「システム障害・技術的な不具合」「製品の安全性に関する懸念」「契約条件や法律に関わる問い合わせ」「個人情報の開示・削除依頼」などが該当します。

一次対応者が無理に答えると誤情報やリスクにつながるため、事前にエスカレーションのルールを設定し、 適切な部署や担当者に引き継ぐ体制を整えておく必要があります。

このように、エスカレーションが必要となる場面は多岐にわたります。適切な判断とタイミングで引き継ぐことが、コールセンター業務の円滑化と顧客満足度向上に直結するといえるでしょう。

コールセンターのエスカレーションフローの設計とルール整備

コールセンターのエスカレーションフローの設計とルール整備

コールセンターでエスカレーションを適切に運用するためには、「その場の判断」や「個人の経験」に頼るのではなく、あらかじめ決められたフローとルールに基づいて動くことが重要です。ここでは、エスカレーションを円滑に行うためのフロー設計とルール整備のポイントを解説します。

判断基準の明文化

エスカレーションを迷わず行うためには、判断基準の明確化が欠かせません。以下のように、エスカレーションに該当する基準を設けましょう。

【明確化すべき基準例】 ・値引きや特別対応を求められた場合 ・対応時間が10分を超える場合 ・顧客の感情が高ぶりクレーム化した場合

また、新人や派遣スタッフでも即座に判断できるよう、フローチャート形式で全員に共有することで、迷いなくエスカレーションを実行できます

エスカレーション経路の定義

エスカレーションは、誰に・どの順番で・どう引き継ぐのかという経路の明確化も重要です。以下のように経路を設計しましょう。

【階層別経路】 ・オペレーター → SV(スーパーバイザー) → マネージャー など

【機能別経路】 ・技術的な問題 → 技術担当部署 ・法的な相談 → 法務部門 ・契約や料金相談 → 営業担当 など

エスカレーションの経路が曖昧だと、対応が属人的になり、判断ミスにつながります。

また、SVが不在の場合の対応ルール(他部署リーダーが対応、後ほど折り返すなど)も整備し、どんな状況でも確実にエスカレーションが機能する体制を整えておくことが大切です。

SLA(サービスレベル)の設定

エスカレーションにおける対応スピードは、顧客満足度に直結します。そのため、SLA(サービスレベルアグリーメント/目標時間)と呼ばれる基準を設定しておくと効果的です。

【SLA設定例】 ・Tier1(一次対応) = 即時対応 ・Tier2(SV対応) = 30分以内 ・Tier3(マネージャー・専門部署対応) = 2時間以内

段階ごとに解決までの目標時間を設定し、現場で共有・可視化することで、対応スピードの向上と現場の意識強化につながります。

エスカレーション時のコミュニケーションと効率化のポイント

エスカレーション時のコミュニケーションと効率化のポイント

エスカレーションをスムーズに進めるためには、単にフローやルールを守るだけではなく、顧客・スタッフ間のコミュニケーションと業務効率化の工夫が欠かせません。

ここでは、エスカレーション時に意識すべきコミュニケーションのポイントと、対応を効率化・最適化するためのポイントをご紹介します。

コミュニケーションのポイント

エスカレーションが必要な場面では、顧客にも社内にも適切な伝え方が求められます。

・顧客への説明は明朗に 「申し訳ございません。専門部署に確認のうえ、折り返しご連絡いたします」など、エスカレーションの理由と今後の対応をわかりやすく伝え、不安や不信感を与えないよう配慮します。

・オペレーター同士の引き継ぎは簡潔・正確に エスカレーション時には、状況・顧客情報・これまでの対応経緯を要点だけに絞って正確に共有します。次の対応までに時間がかかる場合は、顧客に経過を説明しておくとよいでしょう。

エスカレーション対応を効率化するポイント

エスカレーションを組織的に効率化するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

・フローの可視化 マトリクスや図を用いて、エスカレーションの流れや担当者を明確にします。誰が・どのケースで・どのように対応するのかが一目でわかる仕組みを作ることで、現場の混乱を防げます。

・顧客目線の伝え方を意識 「感情に寄り添い、しっかりと話を聴く」姿勢を大切にし、たとえエスカレーションが必要な場合でも、顧客に安心感を与える対応を心がけます。

・エスカレーション頻度をモニタリング 頻繁にエスカレーションが発生している場合は、現場の判断力不足やフローの不備が潜んでいる可能性があります。定期的に件数をチェックし、原因を探ることが改善の第一歩です。

エスカレーションの削減や最適化のポイント

エスカレーションの数が多すぎると業務負担が増え、品質低下の原因にもなります。エスカレーションの削減・最適化のための取り組みも合わせて行いましょう。

・教育とナレッジ強化 FAQの整備や定期的な研修により、現場で解決できる力を育て、エスカレーション依存を防ぎます。

・判断基準・フローの定期見直し ビジネス環境や顧客ニーズの変化に合わせ、判断基準やフローを定期的に見直し、常に現場に合ったものに更新します。

・QA評価(品質アセスメント)の活用 通話品質チェックや応対評価から、エスカレーションの発生原因や改善ポイントを見つけ出し、対応力向上に役立てましょう。

アウトソーシングの活用も検討する

多様化・高度化する顧客対応を内製で賄おうとすると、スキルやリソース不足に陥ることもあります。その場合は、エスカレーション対応に強い業者のアウトソーシング・BPOサービスを検討するのもおすすめです。

アウトソーシング・BPOサービスを利用することで、専門スキル・豊富な経験・業界ノウハウを活かした対応が可能になり、エスカレーションだけでなく、コールセンター全体の品質向上につながります。

まとめ

エスカレーションとは、一次対応者では解決できない問題が発生した場合に、上長や別部門に引き継ぐ仕組みのことです。エスカレーションがスムーズかつ正確に行えるかどうかは、顧客満足度や企業の信用に直結するため、電話業務を行う企業は必ず押さえておいた方がよいでしょう。

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