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コールセンターのBPOとは?アウトソーシングとの違いやメリット・デメリットを解説!



コールセンター業務の効率化やコスト削減の手法として、近年注目される「BPO」。BPOとは、業務の一部ではなくプロセス全体を専門企業に任せることで、企業の負担を減らしたり、サービス品質を向上させたりする効果が期待できます。この記事では、BPOの概要や「アウトソーシング」との違い、BPOを導入するメリットやデメリットのほか、BPOができる具体的なコールセンター業務についてくわしく解説します。
BPOとは?アウトソーシングやBPR・BPaaSとの違いは?

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BPOは、コールセンター業務や営業・経理などの業務プロセスを外部の専門企業に委託することを指します。この手法は、企業の限られた人的リソースを効率的に有効活用する手法として、近年広まっています。たとえば、コールセンター業務をBPOで外部に委託することで従業員のリソースを丸ごと確保でき、そのほかの業務に割り当てることができます。また、外部の専門家に業務を任せることで品質や効率の向上も期待できます。
BPOとアウトソーシングの違いは?
BPOと似た概念として、アウトソージングがあります。アウトソーシングは、業務の一部を外部企業に委託する方法です。コールセンター業務であれば、電話の一次対応やサービスの受注処理のみを委託するのがアウトソーシングに該当します。
一方、BPOではアウトソーシングよりも広範囲の業務を外部企業に委託します。電話応対だけでなく、顧客データの管理やフィードバックの分析・戦略的な提案に至るまで、業務プロセス全体を外部企業に任せるのです。こうすることで、企業は業務負担の軽減だけでなく、専門的な知識やスキルの活用による高品質なサービス提供を実現できます。
BPR・BPaaSとは?
BPRとは、既存の業務プロセスを根本的に見直して改善するためのアプローチです。ゼロから新しい仕組みを設計して、効率や成果を飛躍的に向上させることを目的としています。BPaaSは、BPOとSaaS(※)を組み合わせた造語で、外部企業のクラウドサービスを利用することで、特定の業務プロセスを効率化・自動化するサービスのことです。
(※)SaaS インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーがソフトウェアやアプリケーションを利用できるサービスのこと
BPRとBPOの違い
前述したように、BPOは業務を丸ごと外部の専門企業に委託することを指します。対して、BPRは「業務のやり方や仕組みを根本的に見直すこと」を指し、「外部と協力しながら業務改善をめざす」手法といえるでしょう。
それぞれ独立したサービスですが、組み合わせることで効果を最大化させることも可能です。たとえば、BPRで業務改善を行い、その後BPOで外部の専門企業に委託すれば、さらに高いパフォーマンスが発揮できる可能性があります。
BpaaSとBPOの違い
業務を外部の専門企業に委託するBPOに対して、BPaaSは、外部企業が用意したクラウドサービスを利用して業務を効率化・自動化します。BPOとSaaSの特徴を組みわせたサービスで、アウトソーシングビジネスの新しい形態として注目を集めています。
アウトバウンド・インバウンドに対応!BPOに委託できるコールセンター業務とは?

BPOに委託できるコールセンター業務には、以下のようなものがあります。
問い合わせ対応・カスタマーサポート
問い合わせ対応やカスタマーサポートの業務範囲は幅広く、製品の使い方に関する案内やトラブルシューティング、返品や交換の手続きなどがあります。範囲が膨大なばかりかクレーム対応なども含まれるので、従業員にとっては負担の大きな業務といえるでしょう。BPOを活用することで、このような業務プロセス全体をアウトソーシングでき、従業員の負担を大幅に減らすことができます。
受注~発送・サービス手配
受注~発送・サービス手配に関する業務も、BPOで外部企業に委託することが可能です。注文内容の確認や在庫確認・配送の手配・顧客への連絡など、多岐に渡る業務をアウトソーシングでき、従業員の業務負担軽減、リソースの確保が可能です。
テレアポ・電話営業
テレアポ・電話営業も、BPOを利用することが可能です。BPOを活用することで、営業部門の負担を軽減しつつ、より経験豊富なスタッフによる成果向上が期待できます。
世論調査・マーケティング調査
世論調査・マーケティング調査にBPOを利用すれば、大規模なデータ収集を短期間で効率よく実施できるようになります。また、業務プロセスの中に調査結果の分析が含まれているサービスもあり、世論調査・マーケティング調査にかかるコストを大幅に削減できます。
予約確認・リマインド業務
予約確認・リマインド業務にBPOを活用することで、顧客対応の漏れを防ぎ、スムーズな予約管理ができるようになります。 ホテルやレストラン・イベントなど、予約確認や顧客へのリマインドが必要な企業にとっては、非常に有益な手段となるでしょう。
受電後の各種対応
電話応対だけでなく、その後の多岐にわたる事務処理や手配業務もBPOとして外部に委託することが可能です。 これにより、社内業務の負担を大幅に軽減できるだけでなく、エンドユーザーへの迅速な対応が顧客満足度の向上に直結します。
マーケティング分析・データ集計
コールセンターに集まる「お客様の声(VoC)」は、企業の経営戦略を左右する貴重な資産です。顧客情報を分析し、市場のトレンドや顧客ニーズなどを詳細なレポートとして提供するサービスもございます。 NTTマーケティングアクトProCXでは、長年の運用で培った高度な分析ノウハウと専門のアナリストにより、単なるデータ集計に留まらない「インサイト(示唆)」の抽出を行います。これにより、企業は顧客データを経営戦略や商品開発に効果的に活かし、より的確なマーケティング活動を展開することが可能になります。
コールセンター業務をBPOに依頼するメリット・デメリット

コールセンター業務をBPOで外部に委託するメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
コールセンター業務をBPOに依頼するメリット
コールセンター業務をBPOに依頼するメリットとしては以下があります。
業務効率や生産性が向上する
コールセンター業務を専門企業に委託することで、より専門性の高いスタッフが業務に当たることとなります。その結果、業務の効率化や生産性アップが期待でき、顧客満足度の向上にもつながります。
コールセンターの運用コストを削減できる
コールセンターの運営には、設備や従業員の人件費など多額の費用がかかります。BPOを利用することで、これらの運用コストを削減できます。
採用・教育などの人件費を削減できる
コールセンター運営において、スタッフの採用や研修には膨大なコストがかかります。外部に任せることで、自社の人件費や教育コストを削減できます。
リソースを最適化できる
業務の外部委託することで、これまでその業務に時間を割いていた従業員は、自社のより重要な業務に注力できるようになります。リソースを最適化できるのは、BPOによる外部委託の大きなメリットです。
コールセンター業務をBPOに依頼するデメリットは?
一方で、コールセンター業務をBPOに委託することによるデメリットも考えられます。
ひとつは、自社内に業務知識やスキルが蓄積されにくくなるということです。また、顧客情報などの機密データを扱うため、情報漏えいやセキュリティトラブルのリスクも懸念されます。これを防ぐためには、信頼性の高い委託先を選ぶことが大切です。
また、当然業務を委託することで発生するコストにも注目すべきです。業務をプロセスごと委託するBPOは、アウトソージングに比べて費用が高くなります。導入の際には、コストが期待する効果に見合っているか、本当に必要なのかどうか、シミュレーションを慎重に行なって検討する必要があるでしょう。
ノウハウが社内に蓄積されない
BPOに業務を委託すると、コールセンター運営に関する実践的なノウハウが自社内に蓄積されにくくなる可能性があります。これは、将来的に内製化を検討する際や、緊急時の対応において課題となる場合があります。 NTTマーケティングアクトProCXは、お客さまを成功に導くパートナーとして、定期的なレポート報告会や改善提案会を実施します。VOC(顧客の声)の分析結果や、応対から見えた業務プロセスの課題などを共有し、お客さまと一体となってサービスを改善。このプロセスを通じて、お客さまの社内にも実践的な知見が蓄積される仕組みを構築します。
会社方針とずれる可能性がある
外部業者への業務委託は、自社の経営方針との間にズレが生じるリスクを伴うことがあります。特に、顧客対応の品質が自社の求めるレベルと異なる場合、顧客体験に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、委託業者との緊密な連携と定期的なモニタリングが不可欠です。
柔軟な対応が難しいことがある
BPO契約は、事前に定められた業務範囲や対応ルールに基づいて運用されるため、予期せぬトラブルや急な業務量の変動に対して、柔軟な対応が難しい場合があります。
コールセンター業務のBPO化を検討するときのポイント

コールセンターがBPOを検討する際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
オペレーターの対応品質
オペレーターの対応品質は顧客満足度に直結します。せっかくコストをかけて委託するわけですから、委託先の企業が一定の対応品質を満たしているかしっかり確認しましょう。
対応時間や人員の増減が柔軟に行えるか
繁忙期やキャンペーンなど、必要に応じて対応時間や人員を柔軟に調整できるかを確認しましょう。追加費用がかかるケースもあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
業界への理解や実績があるか
委託先が自社の業界に精通していて、さらに実績があるかどうかも確認しましょう。経験と実績がある企業であれば、よりスムーズな業務運営が期待できます。
費用対効果を見込めるか
前述したように、BPOを導入する際には大きなコストがかかります。契約形態や提供されるサービス内容が自社のニーズにマッチしているかどうか、支払ったコストに対して十分な費用対効果が見込めるかを確認しましょう。
十分なセキュリティ体制を整えているか
コールセンターは顧客の個人情報を扱う部門です。万が一情報漏えいなどのトラブルが発生すると、企業の信用問題に発展してしまいます。扱っている個人情報や機密情報を守れるセキュリティ体制が整っているか、事前にしっかり確認しましょう。
スケーラビリティ(業務量の拡大対応力)
BPOの導入を検討する際は、委託先が急な業務量の増加にも柔軟に対応できる「スケーラビリティ」を持っているかを確認することが重要です。
リスクマネジメントの体制があるか
コールセンター業務は、顧客の個人情報を取り扱うため、情報漏洩やシステム障害などのリスクが常に伴います。そのため、BPOを検討する際には、委託先が適切なリスクマネジメント体制を構築しているかを事前に確認することが非常に重要となります。
コールセンターBPOの導入ステップ
導入ステップは下記です。
- 目的・目標を定める
- 予算確保・担当者のアサイン
- ベンダーの比較・選定
- 条件・契約内容の明確化
- 導入後の運用・評価と改善
目的・目標を定める
BPO導入を検討する際は、まず「なぜBPOを導入するのか」そして「何をもって成功とするのか」を具体的に定めることが重要です。具体的な数値目標や達成したい状態を設定することで、その後のスムーズな運用と効果的な成果に繋がります。
予算確保・担当者のアサイン
BPOの予算は、委託範囲、期間、ベンダーのサービス内容によって大きく変動するため、事前に十分な調査と検討が必要です。 また、社内の関係部署との連携を円滑にし、ベンダーとの窓口となる専任担当者を置くことで、スムーズな情報共有と意思決定が可能となります。
ベンダーの比較・選定
複数のBPOベンダーを比較検討し、自社に最適なパートナーを選定しましょう。 ベンダー選定においては、価格や実績だけでなく、自社が委託したい業務に対応できるか、緊急時の対応力などを総合的に評価することが重要です。 契約前にはRFP(提案依頼書)を作成し、慎重に見極めるようにしてください。
条件・契約内容の明確化
後でトラブルにならないよう、下記項目を明確化し書面で取り交わしましょう。
- 業務範囲
- サービスレベル(応答率、解決率など)
- 費用体系
- レポート内容
- 個人情報保護に関する取り決め
- 契約期間
- 解約条件
導入後の運用・評価と改善
BPO導入後も、定期的な運用状況の評価と改善を継続して行うことが重要です。ベンダーとの定期的なコミュニケーションを通じて課題を共有し、協力してサービス品質の向上に努めることが、長期的なBPO成功の鍵となります。
コールセンターBPOのよくある質問
Q.コールセンターBPOとは何ですか?
A.企業が自社で行っていたコールセンター業務のすべて、または一部を、業務プロセスごと外部の専門企業に委託することです。これにより、企業はコア業務に集中し、コスト削減やサービス品質の向上を実現できます。
Q.アウトソーシングとの違いは?
A.アウトソーシングが主に「人手不足の解消」などを目的に個別の業務(例:電話番)を切り出して委託するのに対し、BPOは「業務全体の最適化による事業貢献」を目的に、業務プロセス設計から運用、改善までを包括的に委託する、より戦略的な手法です。
アウトソーシング | BPO | |
---|---|---|
委託範囲の違い | ・単一、個別の業務 | ・業務プロセス全体 |
目的の違い | ・人員不足の解消 ・コスト削減 |
・業務効率化 ・品質向上 ・CX向上による事業貢献 |
Q.どんな業務が依頼できますか?
A.インバウンド(商品受注、問い合わせ対応、テクニカルサポート)、アウトバウンド(市場調査、販売促進)といった電話応対はもちろん、それに付随するデータ入力や分析、FAQコンテンツの作成・更新といったバックオフィス業務まで幅広く対応可能です。 NTTマーケティングアクトProCXでは、さらに上流のコンサルティングから、VOC分析、DX推進支援まで、ワンストップでご提供しています。
Q.費用はどれくらい?
A.費用は業務範囲や量、求める品質レベルによって変動します。まずは現状の課題やご要望をお聞かせください。ヒアリングの上で、最適なプランと共にお見積もりをご提示します。
関連技術・最新動向
AI電話サービス・ボイスボットの活用
AI技術の発展に伴い、AIチャットボットやボイスボット(音声認識技術を活用した自動応答システム)の導入が進んでいます。これにより、業務効率を向上させつつ、顧客満足度を高めることが可能となります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)との連携
コールセンターBPOは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進と密接に連携しています。CRM(顧客関係管理システム)、IVR(自動音声応答)、AIチャットボット、音声解析AIなどと連携することで、コストを削減しながらより高品質な顧客対応を実現できます。
まとめ
今回ご紹介したように、コールセンター業務のコスト削減や業務効率化、サービス品質向上のためには、BPOを活用がおすすめです。業務プロセス全体を外部企業に委託することで、従業員の業務負担を軽減できるだけでなく、より質の高いサービスが提供できる可能性があります。今回ご紹介したポイントに注意して、BPOが適切かどうか、どんな企業に依頼すべきかを検討してみてください。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
