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コールセンターの応対品質とは?評価方法や改善のためのポイントを解説!
コールセンターは企業とお客様をつなぐ重要な窓口であり、その応対品質が企業の印象や顧客満足度を大きく左右します。応対品質が高ければ、顧客の信頼を得られるだけでなく、ブランドイメージアップにもなります。しかし、応対品質が低下するとクレームの増加や企業イメージの悪化を招くこともあります。コールセンターの品質を向上させるためには、現状を踏まえた上で、具体的な改善策を立てることが大切です。そこでこの記事では、コールセンターの応対品質の評価方法や改善のためのポイントなどについて詳しく解説します。
コールセンターの応対品質とは?なぜ重要?
コールセンターの応対品質とは?
コールセンターは、企業とお客様をつなぐ窓口です。そのため、オペレーターの対応の良し悪しが、企業の印象を大きく左右します。この「顧客対応の質」を指すのが「応対品質」です。
応対品質が高ければ顧客満足度の向上や企業のイメージアップにつながりますが、応対が悪ければクレームや不満が出たり企業のイメージを損なったりする可能性もあります。応対品質の向上は、企業にとって非常に重要な課題の一つと言えるでしょう。
応対品質の重要性
応対品質が向上すれば、さまざまなメリットがあります。お客様の満足度が上がり、リピーターになってくれる可能性も高まるでしょう。また、丁寧な対応は企業のブランドイメージアップにもつながります。
さらに、応対品質アップのためにオペレーターが的確に対応できる環境を整えることで、業務の効率化にもつながります。例えば、適切なトレーニングやマニュアルの整備・コールセンターシステムの導入などを行うことで、オペレーターの負担を減らしつつ応対の質を維持できるでしょう。
顧客満足度が向上する
応対品質の向上は、顧客の企業に対する満足度を高めます。 丁寧で正確な対応は、顧客に「大切にされている」という安心感を与えるため、結果として、顧客が企業に対してポジティブな感情を抱き、継続的な取引につながります。
企業ブランドのイメージアップにつながる
質の高い応対は、企業の信頼性向上やブランドイメージの改善に貢献します。 コールセンターは、企業の「顔」として機能しており、応対一つ一つがブランド価値を構築する要素となるため、SNSなどで好意的な評判が拡散されることで、間接的なプロモーション効果も期待できます。
業務改善につながる
応対データや評価を通じて、業務プロセス全体の効率化や改善点を発見できます。 また、応対の中で明らかになった顧客の不満点や要望は、製品・サービスの改善に直結する貴重な情報源となり、応対時間の分析から非効率な手順を特定し、オペレーターの負担軽減にも役立ちます。
応対品質の評価方法とチェック項目
コールセンターの応対品質を向上させるには、現在の対応状況をチェックした上で正しく評価し、改善点を明確にすることが大切です。では、具体的にどのようにして応対品質を測ればよいのでしょうか?
応対品質の評価方法
応対品質を評価する方法はいろいろありますが、代表的な3つをご紹介します。
モニタリングスコア
モニタリングスコアとは、オペレーターの話し方や対応の仕方を客観的に評価する方法です。 対面での会話では表情やジェスチャーなども大事ですが、電話対応の場合は声だけが頼りになります。そのため、言葉遣いや話すスピード・声のトーン・相槌のタイミングなどが、相手に与える印象を大きく左右します。
この評価では、録音された通話内容をチェックして点数化し、オペレーターにフィードバックを行います。一般的には、「明るくはっきりと話せているか」「相手の話に共感を示せているか」「言葉遣いは適切か」「説明がわかりやすいか」などがチェック項目になります。
アンケート調査
顧客に直接アンケートを実施する方法もあります。この方法なら、実際の顧客の声を反映させた実践的な改善が可能になります。 電話対応を終えた直後に、顧客にメールやSMSでアンケートを送信し、対応の満足度を尋ねます。
例えば、「オペレーターの対応に満足したか?」「問い合わせの解決度はどのくらいか?」などの質問を設定し、5段階評価で回答できるようにするのが一般的です。質問数を最小限に、回答も短時間でできるようにすることで、多くのフィードバックを集めやすくなります。
ミステリーコール
ミステリーコールは、調査員が一般の顧客になりすまして問い合わせを行い、実際の対応を評価する方法です。これは、オペレーターが普段どのように応対しているのかをリアルな視点でチェックできるので、企業にとって非常に有効な手段と言えるでしょう。
例えば、「オペレーターの第一声は明るく親しみやすいか」「質問に対して的確な回答ができているか」「対応にムラがないか」などがチェック項目になります。
応対品質のチェック項目
応対品質チェックで見るべき項目はさまざまあります。というのも、コールセンターの業務内容や重視する観点によってチェックする項目は柔軟に変える必要があるからです。ここでは、あくまで一般的なチェックすべき項目として、以下の4点をご紹介します。
コミュニケーション能力
まずは基本となるのが、コミュニケーション能力です。オペレーターの対応が顧客にとって心地よいものになっているかを評価します。具体的には、以下のような点をチェックすると良いでしょう。
- 第一声が明るく、親しみやすいか
- 顧客の話に共感し、適切にリアクションしているか
- 敬語や言葉遣いが正しく、失礼がないか
- 話し方がわかりやすく、聞き取りやすいか
顧客の要望への正確な対応
顧客が求める情報を正確に伝え、疑問や不安を解消できるかどうかも重要な評価ポイントです。オペレーターが正確な情報を伝えることで、顧客の信頼を得ることができ、企業の信用度向上にもつながります。具体的には、以下のような点をチェックしましょう。
- 顧客の質問に対して、正しい情報を提供できているか
- 顧客が気づいていない課題やニーズを引き出し、適切な提案ができているか
- 商品やサービスに関する情報を、わかりやすく説明できているか
応対のスピード
「顧客に対してどれだけスムーズに応対できるか」、つまり応対のスピードも顧客満足度に影響を与えます。具体的には、以下のような点をチェックしましょう。
- 顧客がオペレーターにつながるまでの時間が長すぎなかったか
- 転送回数が少なく、スムーズに担当者につながったか
- 問い合わせに対する回答が簡潔でわかりやすかったか
総合的な顧客満足度
さまざまなチェック項目の中でも最終的に一番重要なのは、「顧客が応対に満足したかどうか」、つまり総合的な顧客満足度です。顧客満足度を数値化することで、今後の応対品質の改善に役立てることができます。具体的には、以下のような点をチェックしましょう。
- 顧客が不満を感じることなく、スムーズに問題を解決できたか
- 応対後に感謝の言葉をもらえたか
- クレームやネガティブなフィードバックがなかったか
なお、各コールセンターの業務内容や重視する観点によって、これらの項目だけでなくチェックする項目は柔軟に変える必要があります。これらはあくまで目安としながら、業務内容や重点項目に合わせてカスタマイズしましょう。
コールセンターの応対品質が低下する原因は?
コールセンターの対応品質が低下する原因として、以下が考えられます。
オペレーターのスキルにバラつきがある
多くのコールセンターでよくあることですが、オペレーターのスキルが均一でないことは大きな課題です。 スキルにバラつきが出る原因の一つは、教育不足です。教育体制が不十分で研修が十分に行われていない場合、オペレーターのスキルに差が生じやすくなります。特に新人や経験の浅いオペレーターは、実際の業務に入ってからも十分なサポートが受けられないと、不安を抱えながら対応することになってしまいます。
また、マニュアルやトークスクリプトが整備されていないのも原因の一つです。一貫性のある対応をするためには、適切なマニュアルやトークスクリプト(話す内容の台本)が必要ですが、これらが古いままだったり十分に活用されていなかったりすると、オペレーターごとに対応の仕方が違ってしまい、品質のバラつきにつながります。
このほか、オペレーターのモチベーションが低いと、スキルのバラつきが生まれやすくなります。この原因として、「評価基準が曖昧である」「適切なフィードバックが得られない」……などが考えられるでしょう。モチベーションが下がると、顧客に対する対応の質にも影響が出てしまうので、早急な改善が必要です。
オペレーターの業務負荷が大きい
コールセンターの対応品質が低下するもう一つの大きな要因は、オペレーターにかかる業務負荷の大きさです。例えば、「入電数が多すぎる」というケースがあります。繁忙期や特定の時間帯に電話が集中すると、オペレーターが一件一件に十分な対応をすることが難しくなります。その結果、対応が雑になったり、顧客を長時間待たせてしまったりすることがあります。
また、オペレーターの数が不足しているケースもあります。オペレーターの人数が足りない場合、一人あたりの対応件数が増え、業務負担が大きくなります。その結果、オペレーターが疲弊し、対応品質が低下しやすくなります。さらに、業務範囲が広すぎることが問題となっているケースも見られます。電話対応だけでなく、チャット対応やメール処理など業務の幅が広すぎると、一つひとつの対応に集中しにくくなります。そのせいで、ミスが増えたり顧客への対応が雑になったりすることが考えられます。
人的余裕がない
オペレーターの不足により、十分な教育や休憩時間が確保できず、結果として応対品質が低下してしまうことがあります。 常に人手不足の状態では、個々のオペレーターへのフォローも手薄になりがちです。
評価基準が曖昧
応対品質を測る基準が不明確であるため、オペレーターが目指すべき水準が分からず改善が進まないことも考えられます。 そのため、曖昧な基準では、公平な評価も難しくなり、オペレーターのモチベーション低下につながる恐れがあります。
コールセンターの応対品質を改善する方法は?
コールセンターの品質を向上させるためには、現状の問題点を洗い出した上で、具体的な改善策を立てることが大切です。
評価項目の内容やKPIを改善する
評価基準が曖昧だと適切なフィードバックができないため、オペレーターのスキルアップにつながりません。そこで、評価項目を明確にし、誰でも理解しやすい指標を設定することが重要です。例えば、「対応の丁寧さ」「話し方のわかりやすさ」「問題解決のスピード」など、具体的な項目を設けることで、公平な評価ができるようになります。
また、KPI(重要業績評価指標)を適切に設定し、オペレーターがモチベーションを保ちやすい環境を作ることも大事です。例えば、「顧客満足度」「1時間あたりの対応件数」「対応後のアンケート評価」などの具体的な指標を設定しましょう。そうすることで、オペレーターの成長を促すことができます。
オペレーターの教育や研修を充実させる
オペレーターのスキル向上のためには、入社時だけでなく、その後も継続的な教育が必要です。例えば、以下のような研修を実施しましょう。
- 実際の電話対応を想定したロールプレイング研修を行って顧客対応のスキルを磨く
- コールセンターのシステムを効率よく使いこなすための研修で、オペレーターの負担を軽減する
- 迅速にメモを取ったり顧客情報を入力したりできるよう、タイピングスキルを向上させる
このほか、定期的に通話をモニタリングし、フィードバックを行うことも大切です。そうすることで、オペレーターは自分の課題を理解し、改善に取り組むことができます。
管理者のトレーニングや研修も実施する
オペレーターだけでなく、管理者のためのトレーニングや研修も大切です。例えば、オペレーターに対して適切なアドバイスができるように効果的なフィードバックのスキルを磨く、適切なKPIを設定してオペレーターの成長を促す、効率的な人員配置や業務改善を行うためのコスト管理スキルを習得するといった方法が考えられます。
オペレーターがモチベーションや対応品質を向上させるには、管理者の適切な指導が欠かせません。だからこそ、管理者のためのトレーニングや研修もとても重要なのです。
トークスクリプトを充実させる
トークスクリプト(顧客対応の台本)の良し悪しは、応対品質を大きく左右します。トークスクリプトは定期的に見直し、必要があれば更新・改善して、新しい質問やトラブルに対応できるようにしておくことが大事です。また、顧客からよく寄せられる質問をまとめた「FAQスクリプト」の用意もおすすめです。
こういったものを用意しておくことで、スムーズな対応が可能になります。特に新人や経験の浅いオペレーターにとっては、適切なスクリプトがあることで安心して対応できるようになります。
コールセンターシステムの機能を充実させる
最新のコールセンターシステムを導入して業務を効率化することも大事です。例えば、FAQシステムを導入し、よくある質問と回答をデータベース化する、チャットボットを導入してオペレーターの負担を軽減するといった方法が考えられます。システムの活用により、スムーズな対応が可能になるので、応対品質は自然と向上します。
コールセンターのアウトソーシング
現状のコールセンターに限界を感じている場合は、コールセンター業務の一部、または全体をアウトソーシングするのも選択肢の一つです。外部の専門業者を使えば、自社に必要なシステムを取り入れつつスキルが高いオペレーターを採用できるので、コールセンター全体として応対品質の改善が期待できます。
社内フィードバック体制を整備する
応対評価の結果や顧客の声をオペレーターに共有することで、継続的な改善を促す仕組みを作ることができます。 また、フィードバックは一方的なものではなく、対話を通じて改善策を一緒に考える場としましょう。
定期的にモニタリングを実施する
応対の品質を継続的にチェックし、基準から外れていないか、また改善点がないかを確認しましょう。 これにより、応対品質の劣化を早期に発見し、速やかに対応することが可能になります。
応対品質向上のためのフィードバック活用
フィードバックの目的
フィードバックは、オペレーターの成長や応対品質の均質化に果たす役割を明確にします。 主な目的はオペレーターが自身の応対を客観的に認識し、具体的な改善点を見つける手助けをすることです。また、企業が求める品質水準を再認識させ、組織全体として一貫したサービスを提供できるようにすることにもあります。
スクリプト遵守の確認
オペレーターが定められた応対手順や必須事項を守っているかをチェックしましょう。 とくに、法的・コンプライアンス上の要求事項や、重要な情報伝達が漏れていないかを確認してください。スクリプトを無視すると、「情報の不正確さ」や、「応対品質のムラ」につながるため、遵守状況のチェックは重要です。
トークスキルの確認
顧客との円滑なコミュニケーションが行われているか、話し方や言葉遣いを確認しましょう。 具体的には、傾聴の姿勢、共感の表現、分かりやすい言葉選び、適切なスピードとトーンなどを意識してください。これらのスキルは、顧客に安心感と信頼感を与えるために不可欠となります。
顧客ニーズへの対応
顧客の真の要望や潜在的なニーズを汲み取り、適切な提案ができているかを確認しましょう。 単に質問に答えるだけでなく、顧客が本当に求めている解決策やサービスを見つけ出す力が求められます。これにより、顧客満足度の向上だけでなく、クロスセルやアップセルといったビジネスチャンスにもつながります。
フィードバック実施方法
効果的なフィードバックを行うための具体的な手順やツールについて説明します。
- 録音データを活用
- 評価者からの助言・指摘
- 今後の目標設定
録音データを活用
実際の応対録音を聞きながら客観的に評価を行い、具体的な改善点を示しましょう。 録音データを用いることで、評価者とオペレーターの間で、応対の事実を共有でき、主観的な指摘ではなく、「この部分の言葉遣い」や「この質問の意図の読み取り方」といった具体的な議論が可能になります。
評価者からの助言・指摘
評価者が単に点数を伝えるだけでなく、具体的な改善策やポジティブな点も伝えましょう。 指摘だけでなく、成功事例や模範的な応対についても共有し、オペレーターの自己肯定感を高めることが重要です。助言は、オペレーターのスキルレベルに合わせてカスタマイズするよう意識してください。
今後の目標設定
フィードバックの結果を基に、オペレーターと共同で具体的な行動目標を設定しましょう。 目標は、SMART原則(具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限がある)に沿って設定することが重要です。例えば、「次週のモニタリングスコアで、コミュニケーション能力の項目を〇点アップさせる」などの設定の仕方を心がけてください。
フィードバックの効果
定期的なフィードバックが組織やオペレーターにもたらす良い影響を説明します。
- 応対品質の向上
- モチベーション維持・向上
- 公平な評価制度の確立
応対品質の向上
個々のスキル向上により、センター全体の応対品質が底上げされます。フィードバックを通じて、オペレーターは自身の弱点を克服し、より高いレベルの応対を目指すようになるでしょう。
モチベーション維持・向上
適切な評価と指導により、オペレーターの仕事への意欲が高まります。努力が正当に評価され、成長を実感できる環境は、離職率の低下にもつながります。
公平な評価制度の確立
客観的な基準とフィードバックにより、評価制度への信頼性が高まります。評価のプロセスが透明化されることで、オペレーターは納得感を持って業務に取り組むことができます。
品質管理実施時の注意点
定期的な見直し
評価基準や研修内容を常に最新の状態に保ち、変化する顧客ニーズに対応できるよう見直します。市場や競合の動向、自社の製品・サービスの変化に合わせて、品質の定義も進化させる必要があります。
フィードバックの徹底
一度きりでなく、継続的かつ建設的なフィードバックを実施する文化を根付かせます。フィードバックを日常的なコミュニケーションの一部とすることで、オペレーターは常に改善意識を持って業務に取り組めるようになります。
品質管理実施時の注意点
オペレーター研修
顧客対応の基本から専門知識まで、現場で必要なスキルを習得させる研修です。製品・サービス知識、基本的なビジネスマナー、システム操作方法などが含まれます。ロールプレイングを中心とした実践的なトレーニングが重要です。
SV研修
オペレーターの管理・指導、チームマネジメントを行うためのスキルを習得させる研修です。具体的なフィードバック手法、モニタリング評価の均質化、シフト管理、モチベーション維持の技術などが含まれます。
トレーナー研修
研修プログラムの企画・実施や、効果的な教育方法を学ぶ研修です。指導技術(ティーチングスキル)や、受講者の理解度を測る評価方法、研修資料の作成などが主な内容となります。
管理者研修
センター全体の運営戦略や品質管理体制の構築に必要な知識を習得させる研修です。KPIの設定と分析、予算管理、リスクマネジメント、部門間の連携強化などがテーマとなります。
高齢者対応研修
高齢の顧客特有のニーズや、分かりやすいコミュニケーション方法を学ぶ研修です。大きな声でゆっくり話す、専門用語を避ける、結論から伝えるなどの具体的な技術を習得します。
まとめ
コールセンターの応対品質を向上させることは、単にお客様を満足させるだけでなく、企業全体の成長にも関わる重要な取り組みだと言えるでしょう。企業の第一印象を左右するコールセンターだからこそ、質の高い対応を目指して改善を続けることが求められます。現在、コールセンターの応対品質が上がらないことにお悩みの担当者様は、ぜひ今回の記事を参考に現状の問題点を洗いだし、打開策を検討してみてください。
ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX