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コールセンターの生産性の指標「CPH」とは?重要性と改善のポイントを解説!

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コールセンターの指標「CPH」とは?重要性と改善のポイントを解説!

コールセンターの運営において、オペレーターの生産性を測る指標のひとつに「CPH(Call Per Hour)」があります。これは、オペレーターが1時間あたりに対応するコール数を示すもので、業務効率やコールセンター全体の生産性を知るうえでとても重要です。

しかし、単に数値ばかりを追いかけたり、オペレーターの頑張りに頼ったりするだけでは、十分な結果は出せないかもしれません。コールセンター全体の業務フローや運営方法までを見直し、総合的に改善策を打ち出すことが大事です。そこでこの記事では、CPHの重要性や計算方法・効果的な改善策についてご紹介します。

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コールセンターのCPHの重要性と計算方法

コールセンターのCPHの重要性と計算方法

まずは、CPHとは何か、その重要性と計算方法について解説します。

CPHとは?重要性は?

CPHとはCall Per Hourの略で、オペレーターひとりが1時間あたりに対応したコール数です。

この数値が高ければ高いほど、効率的に業務ができていることを意味し、オペレーター一人ひとりの対応力やコールセンター全体の生産性を測る指標として活用されています。

特に、インバウンド業務メインのコールセンターでは、CPHを適切に管理することが重要です。例えば、CPHが低下している場合、その要因には通話中の対応時間が長いことやコール後の処理作業に時間がかかっていることなどが考えられます。こういった場合には、単にオペレーター個人の能力に問題があるというよりも、業務プロセスの見直しやシステム導入による効率化が必要かもしれません。

このように、CPHは単なる通話件数の指標ではなく、コールセンターの運営方針や顧客満足度向上のための分析にも役立ちます。適切に活用することで、よりスムーズな業務運営と高品質な顧客対応が可能になるでしょう。

CPHの計算方法は?

CPHは以下の計算式で求めることができます。

CPH = 対応したコール件数 ÷ 稼働時間

例えば、あるオペレーターが1日8時間勤務し、その間に80件の対応を行った場合、CPHは「80 ÷ 8 = 10」となります。

CPHとしてカウントされる業務

CPHの算出基礎となる「コール対応」には、一般的に以下の業務が含まれます。

  • 電話での直接応対: 顧客との会話時間(通話開始から終了まで)
  • 後処理業務(ACW): 通話終了後に行う対応履歴の入力や関連部署へのエスカレーションなどの作業

これら一連の業務を1件のコールとしてカウントします。

CPHの平均・目安

CPHの適切な目標値は、扱う商材や業務の複雑さによって大きく異なります。業界や業務内容に合わせた目標設定が不可欠です。

業務内容の例 CPHの目安 業務の特性
テクニカルサポート 1~2件 製品仕様の確認や複雑な調査を伴い、1件あたりの対応時間が長くなる傾向がある。
一般的な問い合わせ・受注 3~5件 ある程度定型化された応対が多く、トークスクリプトやFAQの整備が効率を左右する。
簡易的な案内・一次受付 5~6件以上 短時間で完結する対応が中心。IVR(自動音声応答)との連携も重要となる。

よくある間違いは、性質の異なる業務に一律のCPH目標を設定してしまうことです。業務の特性を詳細に分析した上で、実態に即したKPI設計が重要です。

CPHから分かること

CPHの数値からは、オペレーター個人のスキルだけでなく、コールセンター全体の運営状況が見えてきます。この数値を正しく読み解き、改善に繋げるためには、以下の視点が欠かせません。

  • コールセンター全体の生産性
  • オペレーターの応対能力
  • 改善に向けた課題の発見

コールセンター全体の生産性

CPHには、電話応対スキルだけでなく、後処理の事務作業、システムの操作性、トークスクリプトの完成度、FAQの検索性など、業務環境のあらゆる要素が反映されます。 CPHの数値を分析する際は、個人のスキルだけでなく、業務プロセスやツール全体に潜む課題を特定することが重要です。

オペレーターの応対能力

個々のオペレーターのCPHを比較することで、スキルや知識レベルを客観的に把握し、適切な教育やフォローアップに繋げることができます。 ただし、数値を追求するあまり応対品質が低下しないよう、顧客満足度(CSAT)などの品質指標と合わせて評価することが不可欠です。

改善に向けた課題の発見

CPHの低下は、センターが抱える問題点を示す重要なサインです。例えば、「新商品の不具合に関する問い合わせが増加し、対応時間が伸びている」「FAQが古く、オペレーターが必要な情報を見つけられない」といった根本原因が隠れているケースが少なくありません。私たちは、CPHの変動要因をVOC(顧客の声)分析などと掛け合わせて多角的に分析し、根本的な課題解決に繋がる具体的な施策を導き出します。

コールセンターのCPH以外の指標は?

コールセンターには、CPH以外にも業務効率や品質を評価するための指標があります。

ATT(Average Talk Time)

ATTとはAverage Talk Timeの略で、平均通話時間を指し、1件の対応にかかる時間の目安になります。長すぎると業務の効率が低下する要因となりますが、逆に短すぎても十分な対応ができていない可能性があります。単純に時間だけで判断するのではなく、他の指標と照らし合わせながら判断することが大事です。

ACW(After Call Work)

ACWとはAfter Call Workの略で、通話終了後に行う事務作業や記録業務の時間を指します。ACWが長すぎると、それだけオペレーターへの負担が大きくなっていると考えられます。また、架電と架電の間隔が長くなるため、架電効率を下げてしまいます。こういったケースでは、コールセンターシステムの導入などACWを短縮するための整備が必要です。

AHT(Average Handling Time)

AHTとはAverage Handling Time略で、1件の対応に要する総時間です。AHTは、通話時間(ATT)と後処理時間(ACW)を合計すると算出できます。AHTの管理を適切に行うことで、オペレーターの負担軽減や業務効率の向上につながります。

稼働率

稼働率とは、オペレーターが勤務時間の中でどれだけの割合を実際の応対業務に費やしているかを示す指標です。

稼働率は、以下の方法で計算できます。

稼働率 =(通話対応時間 + 対応後作業時間 + その他業務) ÷ (勤務時間 - 離席時間)

この計算によって、オペレーターが1日の勤務時間のうち、どの程度の時間を応対業務に割いているかが明確になります。この数値は、コールセンター全体の効率や運営状況を把握するのに役立ち、最適な人員配置をするための判断材料になります。

CPHを確認する際のポイントは?

CPHを確認する際のポイントは?

コールセンターの運営において「CPH(Call Per Hour)」は非常に重要な指標の一つです。しかし、CPHが低下したときに単純にオペレーターの働きぶりを評価するだけでは、本当の課題を見落としてしまう可能性があります。

CPHを適切に管理するためには、単なる数値の変動に一喜一憂するのではなく、背景にある要因を的確に分析する必要があります。そのポイントを見てみましょう。

数値でなく原因が何かを確認する

CPHが下がっているときに、まず考えるべきなのは「なぜこの数値になっているのか?」という点です。ただ単にオペレーターの努力不足と決めつけたり、漠然と数値向上のための指示を出したりするのは良くありません。

CPHはあくまで結果を示す指標であり、その背後には業務プロセスやシステムの問題など、さまざまな要因が関係しています。そのため、CPHが低下している場合は、最初にその原因を洗い出すことが大事です。

他のKPIにも目を向ける

CPH単体の数値を見ても、具体的な改善策を導き出すのは難しい場合があります。重要なのは、ATT(Average Talk Time)やACW(After Call Work)・AHT(Average Handling Time)など、関連するKPIと併せて分析することです。

例えば、CPHが低下している一方でATTが長くなっている場合、通話時間が長すぎることが原因かもしれません。また、ACWが増えている場合は、通話後の処理に時間がかかっていることが考えられます。このように他の指標との関係を検証することで、より的確な対策ができるようになるでしょう。

CPH低下の原因を丁寧に分析する

CPHの低下にはさまざまな要因が考えられます。例えば、オペレーターの人数が適切に配置されていない・通話対応に時間がかかりすぎている・システムの使い勝手が悪く業務効率が落ちているといったケースが挙げられます。

原因によって最適な改善策は違ってくるので、まずは問題の本質を明確にする必要があります。原因分析をしっかり行うことで的確な施策が可能になり、結果としてCPHの向上につなげることができるでしょう。

数字だけでなく応対品質やCSも指標とする

CPHは、電話応対だけでなく、その後の処理時間も含まれるため、単純に数値だけでオペレーターの能力やコールセンターの生産性を判断しないよう注意が必要です。 CPHの低下を確認した場合、やみくもにオペレーターの努力目標を設定したり、指導を行ったりすると、かえって顧客満足度やCPHの低下を招く可能性があります。 したがって、CPHが低いからといって安易な改善策を講じるのではなく、まずは応対品質やCSも指標として総合的に判断しながら根本的な原因を探ることが重要です。そうすることで的外れな対策を避け、本当に必要な改善策を見出すことができます。

コールセンターのCPHを改善する方法は?

コールセンターのCPHを改善する方法は?

CPHを向上させるためには、単純に「もっと早く対応しよう」とオペレーターに指示するだけでは不十分。オペレーターのスキル向上はもちろん大切ですが、業務プロセスの見直しや適切なシステム導入など、総合的な改善策を講じるようにしましょう。

オペレーターの教育や研究を行う

オペレーターの対応スキルにばらつきがあったり、対応スキルが不十分だったりする場合、特定のオペレーターのCPHが低くなることがあります。特に新人オペレーターの場合、電話対応に時間がスムーズにできていなかったり、システム操作に慣れていなかったりして、CPHが低下しているケースが考えられます。

このようなケースでは、ロールプレイング研修やシステム操作研修・タイピングスキル向上トレーニングなどを取り入れると良いでしょう。こうした教育プログラムを実施することで、オペレーターの対応速度が向上し、結果としてCPHの改善につながります。

トークスクリプトの内容を充実させる

トークスクリプトとは、顧客対応時にオペレーターが活用する台本のようなものです。これがしっかり整備されていると、特に新人オペレーターや経験の浅いスタッフでもスムーズに対応できるようになります。トークスクリプトの内容を見直し、不要なやり取りを減らすことで、対応時間の短縮や対応の均一化がしやすくなります。

FAQシステムを導入する

オペレーターが通話中に参照できるFAQシステムを導入・充実させることも重要です。例えば、よくある質問とその回答をデータベース化して検索しやすい仕組みを作っておけば、オペレーターはスピーディーな対応ができるようになるので、CPHの向上が期待できます。

KPIを可視化するダッシュボードの活用

KPIダッシュボードは、売上や顧客満足度、生産効率といった重要な業績評価指標(KPI)をリアルタイムで視覚化し、目標達成への進捗を一目で把握できるように設計されたツールです。このダッシュボードを活用することで、コールセンターのCPHをリアルタイムでモニタリングし、効率改善のための迅速な意思決定に役立てることができます。

システムの導入・改善サービス・アウトソーシングもCPH改善に有効!

システムの導入・改善サービス・アウトソーシングもCPH改善に有効!

CPHの向上には、オペレーターのスキルアップだけでなく、システムの導入・改善やアウトソーシングの活用もおすすめです。

システムの導入

CPHの低下には、「システムが使いにくくて時間がかかる」「手動でやらないといけないことが多くて効率が悪い」といった原因が考えられます。

このような場合、音声ガイダンスやチャットボット・FAQなど複数の機能を統合させたCTI(Computer Telephony Integration)を導入すれば、業務効率が大幅に上がり、CPHの改善が期待できます。また、CTIを取り入れることで分析もしやすくなるので、オペレーターの教育に活かすことも可能です。このほか、通話内容を自動でテキスト化してAIが要点を整理するツールも、通話後の処理の手間と時間の削減に役立ちます。

このようにシステムを導入することで、業務効率のアップとオペレーターの負担軽減ができ、結果としてコールセンター全体の生産性向上につながります。

対応品質の改善サービス

コールセンターの対応品質を分析し、改善点を洗い出すために、モニタリングやミステリーコール(覆面調査)を活用するのも一つの手です。特にコールセンターを内製している場合には効果的な方法です。外部の専門機関による評価を受けることで、自社では気づきにくい課題を発見し、問題点を洗い出し、改善につなげることができます。

コールセンターのアウトソーシング

自社でコールセンターを運営することに限界を感じている場合や、繁忙期に対応しきれない場合などには、コールセンター業務の一部または全体を外部に委託することも考えてみてください。最適なシステムと専門性の高いオペレーターがいるため、CPHの向上はもちろん、対応品質や顧客満足度の改善にもつながります。

カスタマーセンター委託サービス

顧客からの電話、メール、チャットによる問い合わせ窓口を外部に委託するカスタマーセンター委託サービスは、問い合わせ傾向の分析による自己解決率の向上や、マナー研修を受けたスタッフによる高品質な対応で顧客満足度の向上も期待できます。これにより、コールセンターのCPH削減にも繋がります。

応対品質改善作業の委託

オペレーターの応対品質向上やコールセンターの課題を可視化したい場合、「ミステリーコール」や実際の対応モニタリング、履歴の正確性チェックといった分析・改善サービスが有効です。これらのサービスを利用することで、具体的な改善策が分かり、CPHの短縮にも繋がります。

教育・研修業務の外注

CPHの低下がオペレーターの能力不足に起因している場合、教育・研修委託サービスが有効です。このサービスでは、ヘルプデスク研修やマナー研修、ロールプレイングといった実践的なプログラムを通して、オペレーターの専門知識やコミュニケーション能力を向上させ、CPHの短縮に貢献します。

最新テクノロジーによるCPH改善の可能性

ボイスボット活用による業務効率化

ボイスボットを導入することで、CPH(1時間あたりの対応件数)の改善をはじめ、コールセンター全体の業務効率化が期待できます。 オペレーター業務の一部を代替することで人件費や教育コストを削減できるだけでなく、24時間365日の対応でピーク時の「あふれ呼」を防ぎ、顧客満足度の向上と機会損失の防止に貢献します。また、従来のIVR(自動音声応答)よりも複雑なシナリオに柔軟に対応できる点も大きなメリットです。 ただし、AIでは対応が難しい専門的な問い合わせも存在するため、必要に応じて人間のオペレーターへスムーズに引き継ぐ連携設計が重要となります。

生成AI×FAQの自動更新の可能性

生成AIとFAQの自動更新を組み合わせることで、コールセンターのCPH(1件あたりの平均処理時間)を大幅に短縮できます。 これは、AIが問い合わせ履歴をリアルタイムで分析し、新しい質問やトレンドに合わせたFAQを自動で作成・更新するためです。これにより、オペレーターは自然言語で質問するだけで最適な情報を得られ、手動での検索や古い情報に基づく対応がなくなります。結果として、オペレーターのナレッジ検索が効率化され、応対時間の短縮に直結します。

ノンボイス対応とのKPI比較

コールセンターのCPH(1件あたりの平均処理時間)は電話応対の効率性を示す主要KPIですが、ノンボイス対応(チャットやメール)では、コスト削減と顧客満足度向上を重視した別のKPIが用いられます。

まとめ

CPHは、コールセンターの業務効率やオペレーターの対応力を示す重要な指標ですが、数値だけにとらわれてしまうと根本的な課題を見落としてしまう恐れがあります。CPHを適切に管理するためには、ATTやACWといった他の指標との関連を分析しながら、業務プロセスの見直しやシステムの最適化を進めることが大事です。今回の記事でご紹介した改善策を取り入れながら、より効率的かつ高品質なコールセンター運営を目指してください。

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