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コールセンターの指標「稼働率」とは?目安・計算方法や適切な管理方法



コールセンターの業務効率を測るための指標の一つが「稼働率」です。これは、オペレーターが勤務している時間のうち、どれだけの時間を実際の顧客対応に充てているかを示す指標です。
しかし稼働率は「高ければ高いほど良い」というわけでもありません。稼働率が低すぎると人件費の無駄になり、高すぎるとオペレーターの負担が増え、離職率が上がるリスクも。適正なバランスを保つことが、サービスの品質向上や安定した運営につながります。
そこでこの記事では、稼働率の正しい計算方法や適正な数値の目安・適切な管理方法について詳しく解説します。
目次
コールセンターの稼働率とは?計算方法や占有率や応答率との違い

稼働率とは?
コールセンターの運営において、「稼働率」という指標は非常に重要です。稼働率は、オペレーターが勤務している時間のうち、どれだけの時間を実際の顧客対応に充てているかを示します。単に労働時間の長さを示すのではなく、効率的に業務が行われているかどうかを測る指標として活用されているのです。
例えば、オペレーターが1日の勤務時間の中で、電話の通話時間・通話中の保留時間・通話後の事務作業(後処理時間)・メールやオンラインチャットへの返信などに費やした時間が多ければ、稼働率は高くなります。一方で、待機時間が長かったり、システムトラブルなどで顧客対応ができない時間が増えたりすると、稼働率は低下します。
稼働率の業界平均・目安(80~85%など)
コールセンターの稼働率における一般的な適正値の目安は80~85%とされています。これは、オペレーターが過度なプレッシャーを感じることなく、かつ無駄な待機時間も発生しにくい、最もバランスの取れた状態です。 100%に近いほど効率的に見えますが、実際にはオペレーターが息つく間もなく連続で対応に追われることになり、疲弊による応対品質の低下や離職を招くリスクが高まります。逆に70%を下回るような低い稼働率は、人員が過剰であり、人件費の観点から非効率な状態と言えます。まずはこの「80~85%」を基準に、自社の状況に合わせて微調整していくのが良いでしょう。
稼働率の計算方法は?
稼働率は、以下の計算式で求めることができます。
稼働率(%) = 顧客応対の時間 ÷ 勤務時間 × 100
例えば、このように算出します。
【日ごとの稼働率の算出】 オペレーターの1日の勤務時間が8時間(480分)だとします。 そのうち6時間(360分)を顧客対応に費やしていた場合、1日の稼働率は(360 ÷ 480)× 100 = 75%となります。
【週ごとの稼働率の算出】 オペレーターが1週間(5営業日)で勤務する時間が合計40時間(2400分)だとします。 そのうち、30時間(1800分)を顧客対応に費やしていた場合、1週間の稼働率は(1800 ÷ 2400)× 100 = 75%となります。
【月ごとの稼働率の算出】 オペレーターが1か月(20営業日)で勤務する時間が合計160時間(9600分)だとします。そのうち、120時間(7200分)を顧客対応に費やしていた場合、1か月の稼働率は(7200 ÷ 9600)× 100 = 75%となります。
この指標は、個々のオペレーターだけでなく、コールセンター全体の運営状況を把握するためにも活用されます。コールセンター全体の稼働率を算出し、一定期間ごとの稼働率を分析することで、業務の効率化や適正なシフト管理につなげることが可能になります。
フォーミュラ(分母:稼働可能時間、分子:実稼働時間)
稼働率は、以下の計算式(フォーミュラ)で算出されます。各項目が何を指すのかを正しく理解することが、正確な数値把握の第一歩です。
- 稼働率 (%) = 実稼働時間 ÷ 稼働可能時間 × 100
- 実稼働時間:顧客対応に関連する全ての活動時間を指します。具体的には、通話時間、保留時間、後処理時間(ACW)、メールやチャットの対応時間などが含まれます。
- 稼働可能時間:オペレーターの総勤務時間(給与支払時間)から、会議、研修、休憩時間など、顧客対応ができない時間を除いた時間のことです。つまり、オペレーターが「顧客対応できる状態で待機していた時間」の総計を指します。
稼働率の重要性は?
コールセンターの稼働率は、単純に高ければ良いわけではありません。
稼働率が高すぎると、オペレーターが十分な休憩を取れず、業務の質が低下する恐れがあります。また、ひとりのオペレーターの稼働時間が多いと、それだけそのオペレーターが業務に集中しているということになり、品質の低下が生じる可能性があります。各オペレーターによって稼働率に大きな差がある場合、オペレーターのスキル差が生じている可能性も。
そのため、高すぎず低すぎず適切な稼働率を保つことが大事です。稼働率の維持のためには、各オペレーターの業務負担が均等になるようにシフトを調整したり、必要に応じてシステムの導入などを検討したりすると良いでしょう。
生産性やCS(顧客満足度)との関係
稼働率は、生産性とCS(顧客満足度)と密接な関係にありますが、その関係は単純な比例関係ではありません。 適正な稼働率(80~85%)は、オペレーターが集中力を維持しつつ、効率的に業務をこなせる状態を示し、結果として高い生産性と安定した応対品質(CSの維持・向上)に繋がります。 しかし、稼働率が90%を超えるような高すぎる状態が続くと、オペレーターは常に時間に追われ、一件一件の対応が雑になったり、精神的な疲弊から顧客への共感が薄れたりする可能性があります。これは短期的には生産性が上がっているように見えても、長期的にはCSの低下を招く危険な状態です。
占有率や応答率との違い
「稼働率」と似た指標に、「占有率」や「応答率」があります。それぞれとの違いを確認しておきましょう。
占有率との違い
「占有率」は、オペレーターの勤務時間のうち、実際に顧客対応に当たっていた時間の割合を示します。一方、「稼働率」には、通話やチャット対応だけでなく、保留時間や通話後の事務処理時間なども含まれます。
応答率との違い
「応答率」とは、コールセンターにかかってきた電話のうち、オペレーターが実際に対応できた割合を示す指標です。これは、オペレーターがどれだけの電話を取れたかを測るもので、稼働率とは異なる観点の指標といえます。稼働率が高くても、コール数が多すぎて応答しきれない場合は応答率が低下することもあります。
稼働率・占有率・応答率の相関と使い分け
これらの指標はそれぞれ異なる側面を測るものであり、組み合わせて分析することで、コールセンターの状態をより立体的に把握できます。
指標 | 測るもの | 分析の視点 |
---|---|---|
稼働率 | 待機時間を含め、どれだけ「多忙」か | 人員配置の適正性、オペレーターの負荷 |
占有率 | 顧客対応(通話・後処理等)にどれだけ時間を「費やした」か | 業務プロセスの効率性 |
応答率 | かかってきた電話にどれだけ「応答できた」か | 電話の繋がりやすさ、顧客体験の質 |
稼働率が適正(80-85%)なのに応答率が低い場合、そもそも人員が不足している可能性が考えられます。逆に、応答率が高いにも関わらず稼働率が低すぎる場合は、人員が過剰であると判断できます。このように、応答率で「顧客への影響」を測り、稼働率で「人員配置の適正性」を判断するといった使い分けが基本となります。
稼働率の適正値・チェックポイントと問題点

稼働率の適正値
コールセンターの運営には適切な稼働率維持が重要ですが、どの程度の稼働率が良いのでしょうか?また、どの程度の稼働率だと良くないでしょうか?一般的なコールセンターでは、以下の数値を基準にできます。
・70%未満:人員体制の見直しが必要 これは適正範囲を下回る数値で、オペレーターの稼働率が低い状態といえます。業務の割り当てが適切でない可能性が高いため、人員体制の見直しをおすすめします。
・80~85%:適正 安定した運営が可能な範囲といえます。この水準を維持すれば、効率的なコールセンター運用とオペレーターの負担軽減が可能です。
・85~90%:注意 業務効率は良いものの、オペレーターの疲労やストレスが蓄積しやすい状態といえます。状況によっては改善が必要です。
・90%以上:危険 90%を超えているのは危険水準といえます。オペレーターが常に業務に追われているような状態なので、疲労やストレスの増加、生産性の低下、ひいては離職なども懸念されます。
コールセンター規模や業種による違い
稼働率の適正値は普遍的なものではなく、コールセンターの規模や業種によって微調整が必要です。
- 規模による違: 数百席規模の大規模センターでは、統計的な効果により呼量の変動が平準化されやすいため、比較的小規模なセンターよりもやや高めの稼働率(例: 85%~88%)でも安定運用が可能な場合があります。
- 業種による違い:商品の受注受付など定型的な業務が中心のセンターに比べ、専門的な知識が求められるテクニカルサポートなどでは、一件あたりの対応が複雑でオペレーターの精神的負荷も高いため、意図的に稼働率の目標をやや低め(例: 75%~80%)に設定することもあります。
稼働率のチェックポイントは?
適切な稼働率を維持するために、以下の3つのポイントを定期的にチェックしてみてください。
【人員体制は適切か】 オペレーターの人数が適切かどうかを確認しましょう。業務量に対して人手が不足していると稼働率が上がりすぎ、逆に多すぎると稼働率が下がりすぎてしまいます。
【極端に稼働率が違うオペレーターはいないか】 一部のオペレーターばかりに業務が集中しているような状況では、ストレスや疲労が強くなったりパフォーマンスや生産性が低下してしまいます。離職リスクが上がる恐れも。こういった状況を防ぐためには、個人単位の稼働率を把握して、適切な調整を行うことが必要です。
【全体の稼働率が高すぎない・低すぎないか】 コールセンター全体の稼働率が、高すぎることもなく低すぎもしない状態、つまり適正範囲の80~85%に常に収まるように留意しましょう。オペレーターの負担を均等にし、安定した運営ができるようにするために、必要に応じて人員配置や業務分担の調整も検討してみてください。
あふれ呼」や待ち呼び発生率との関係
「あふれ呼(放棄呼)」や「待ち呼び(AWT: 平均待機時間)」の発生率は、稼働率と直結しています。稼働率が90%、95%と100%に近づくにつれて、待ち呼び時間は指数関数的に増加する傾向があります。 これは、オペレーターにほとんど空き時間(待機時間)がないため、新たに入ってきた呼は必ず待たされることになるからです。つまり、稼働率をモニタリングすることは、顧客を待たせてしまう状況を未然に防ぎ、応答率の低下や顧客満足度の悪化を食い止めるための先行指標として極めて重要です。
稼働率が高すぎる・低すぎる場合の問題点は?
稼働率が高すぎたり低すぎたりすると、以下のような問題が発生する恐れがあります。
稼働率が高すぎる場合の問題点
コールセンターの稼働率が90%を超えるような状況が続くと、オペレーターがほぼ休む間もなく業務に追われることになります。この状態が長期間続くと、以下のような問題が起きるかもしれません。
【オペレーターの疲労やストレスが大きくなる】 休憩を十分に取れない状態で常に通話対応を続けることになると、精神的にも肉体的にも疲れてしまい、ストレスも多くなります。
【顧客対応の品質が低下しやすい】 疲労やストレスが溜まった状態では、集中力も続きません。対応のミスが増えたり、応対がぶっきらぼうになったり機械的になってしまったりなど、対応品質が低下して顧客満足度の低下を招く可能性があります。
【離職率が上がりやすい】 業務負担が大きすぎる職場環境では、オペレーターのモチベーションが低下し、結果として離職率が上がるリスクがあります。そもそも離職率が高いとされるコールセンターでは、この問題は深刻です。
【研修や教育が十分にできなくなる】 通話対応に追われる環境では、新人オペレーターが業務を学ぶ時間を確保しにくくなります。研修やフィードバックの時間が十分取れず、スキルをきちんと身につけられないまま現場に出ることになり、結果として対応品質に問題が生じることもあるでしょう。
稼働率が低くすぎる場合の問題点
稼働率が低すぎる状態が続くことも、コールセンターの運営にとっては問題です。稼働率が70%未満になると、以下のような影響が出る可能性があります。
【リソースや人件費の無駄使いになる】 必要以上にオペレーターがいると、一人あたりの業務量が少なくなり、リソースの無駄が生じます。その分人件費もかかるので、コールセンター全体の運営効率に悪い影響を与えかねません。
【オペレーターのモチベーションが低下しやすい】 忙しすぎるのも考えものですが、あまりに暇な時間が多かったり顧客対応の機会が少なかったりすると、業務に対するモチベーションを保つのは難しくなるでしょう。
【スキルが低下しやすい】 いくら研修などをしたとしても、実際の顧客対応の機会が少ないと、オペレーターのスキルは上がりません。また、もともとスキルのあるオペレーターでも、対応機会が減ると腕が鈍ってしまうこともあるでしょう。
【サービス品質の低下につながる】 通話対応の頻度が減ると、オペレーターの業務感覚が鈍り、対応スピードが遅くなったり、適切な対応ができなくなったりする可能性があります。その結果、顧客対応の品質が安定せず、クレームの発生リスクが高まる恐れもあります。
コールセンターの稼働率を適切に管理するための方法

前項で解説したように、稼働率が高すぎたり低すぎたりすると、業務の効率が悪化し、サービスの質やオペレーターの働きやすさに悪影響が出やすくなります。稼働率を適正に維持するためのポイントを見ていきましょう。
ステータス管理をこまめに行う
ただし、あまりにも細かく管理しようとすると、かえってオペレーターの負担なることもあります。また、運営側の管理業務も煩雑になりかねませんし、手間がかかります。そのため、業務管理システムのレポート機能を活用するなどして、オペレーターの負担を最小限に抑えつつ、効率的に管理できる体制を作ることをおすすめします。
応対中・離席・後処理などステータス分類の最適化
正確な稼働率を算出するためには、オペレーターの行動ステータスを正しく管理することが不可欠です。「応対中」「後処理中」「待機中」「研修中」「休憩中」「離席中」といったステータス分類を明確に定義し、オペレーターが状況に応じて適切にステータスを変更する運用を徹底する必要があります。 ステータスの分類が曖昧だったり、運用が徹底されていないと、稼働率の計算結果そのものの信頼性が揺らぎます。まずは自社の業務内容に合わせてステータスを最適化し、そのルールを全員で遵守する文化を醸成することが、適切な管理の第一歩です。
状況に合わせて人材配置を調整する
オペレーターの数が増えれば、対応能力は上がり顧客対応もスムーズになりますが、必要以上に多くの人員を配置すると人件費の増加や非効率な業務運営につながることがあります。逆に、人員が不足していると、オペレーター一人当たりの負担が増し、対応品質の低下や離職率の上昇を招く可能性があります。
コールセンターの稼働率を適正に維持するには、人員配置の見直しと調整が必要です。ステータス管理を活用し日々の数値を分析しつつ、業務量の変動に応じた柔軟な人員調整を行ってください。
稼働率が高すぎる場合には、オペレーターの増員を検討し、一人当たりの負担軽減を。稼働率が低すぎる場合は、シフト調整や短時間勤務の導入などで余剰人員が出ないようコントロールしましょう。
フォーキャスト精度の向上とWFM(Workforce Management)活用
適切な稼働率の維持は、精度の高い呼量予測(フォーキャスト)から始まります。過去のデータに基づき、曜日や時間帯、季節変動などを加味して、いつ・どれくらいの問い合わせが来るかを予測し、それに基づいて必要な人員数を算出します。 さらに、WFM(ワークフォース・マネジメント)と呼ばれる専門のシステムを活用することで、その予測に基づいた最適なシフトスケジュールを自動で作成できます。WFMの活用は、管理者のシフト作成業務を効率化するだけでなく、経験や勘に頼らないデータドリブンな人員配置を実現し、稼働率の安定化に大きく貢献します。
オペレーターへのフォローを充実させる
コールセンターの稼働率を適切に維持するためには、オペレーターのケアに注力し、働きやすい環境を整えることが大切です。以下のような方法を取り入れてみましょう。
【オペレーターの状態を把握し、必要なフォローを入れる】 管理者が現場の状況を把握し、必要に応じてすぐにサポートを行えるようにしましょう。あわせて適切なフィードバックを行うなど、フォローアップ体制を作ることも重要です。
【こまめにコミュニケーションを取る】 オペレーターとコミュニケーションをとる機会を意識的に設けましょう。他愛ない会話ができる関係性が作れれば、業務に関する悩みや不満も言いやすくなるので、業務の負担感や問題点などを自然とチェックできるようになります。
【1対1の面談をする】 業務がうまくいっていないオペレーターや新人は特に、個別のケアを行って早期に課題を解決することが重要です。そのために、定期的に管理者と1対1の面談を実施することをおすすめします。
【働きやすい環境を整える】 リラックスできるスペースを設ける・メンバー同士が交流できる機会を設けるなど、働きやすい環境作りも大切です。
このようにフォロー体制を充実させることで、オペレーターのメンタルもケアができ、稼働率が適正値から外れることを防げるでしょう。
モチベーション維持・健康管理
稼働率は、オペレーターの健康状態を測るバロメーターでもあります。特定のオペレーターの稼働率だけが常に高い場合、その人に業務負荷が偏っているサインかもしれません。 管理者は数値を管理するだけでなく、稼働率が高いオペレーターに対しては積極的に声をかけ、1on1ミーティングの機会を設けるなど、心身の健康状態に配慮することが重要です。オペレーターが安心して働ける環境を整えることが、結果的にモチベーションと応対品質の維持に繋がり、センター全体の安定稼働を実現します。
非生産時間を教育や研修に活用する
コールセンターの入電数は、時間帯や曜日によって変動するもの。特に、繁忙期と閑散期では入電数に大きな差が生じることもが珍しくはありません。このようなとき、どうしても非生産的な待機時間が発生しやすくなりますが、この時間を有効に活用することで稼働率の最適化につなげることができます。
例えば、研修や教育プログラムを実施したり、業務に関する勉強会を行ったり、個別面談やフィードバックを行ったりするなど、オペレーターのスキルアップやモチベーション向上の機会を作ると良いでしょう。このように待機時間も上手に活用しさえすれば、コールセンター全体の生産性や顧客満足度アップのための時間にすることができます。
待機時間にFAQ・トーク研修・ミニテストなど
稼働率が低い時間帯、つまりオペレーターの待機時間は、ともすれば「無駄な時間」と捉えられがちです。しかし、この時間を「投資の時間」と捉え直すことで、センター全体のスキルアップに繋げることができます。 例えば、待機時間にFAQコンテンツの更新作業を依頼したり、数分で完了するe-ラーニング形式のミニテストを実施したり、新しいトークスクリプトの読み合わせを行ったりといった活動が考えられます。計画的にこれらの時間を活用することで、オペレーターの知識向上と業務の平準化を図り、結果的に繁忙期の応対品質向上にも貢献します。
稼働率の適切管理にはシステムの導入やアウトソーシングも効果的!

コールセンターのシステムとは?
近年では、多くの企業がコールセンター業務の効率化を目的としたシステムを導入しています。これらのシステムは、オペレーターの負担を軽減し、業務の効率化を後押しするものです。代表的なシステムを紹介します。
PBX
PBX(Private Branch Exchange)は、コールセンターにおける通話管理を担うシステムです。複数の電話回線を効率的に制御する役割をしています。このおかげで、外線と内線をスムーズに切り替えたり、オペレーター間での通話転送を行ったりすることが可能になります。
CTI
CTI(Computer Telephony Integration)は、コンピュータと電話を統合するシステムです。顧客から電話が入ると同時に、顧客情報をオペレーターの画面に表示することができます。オペレーターは通話開始直後から適切な対応ができるため、対応スピードや品質の向上につながります。
CRM
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客とのやり取りを一元管理するシステムです。問い合わせ履歴や購入履歴などの情報を蓄積し、次回の対応時に役立てることができます。これにより、オペレーターは過去のやり取りを参照しながら適切な対応ができるようになります。
SFA
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動の管理や分析を行うためのシステムです。コールセンター業務の中でも特にアウトバウンド業務を効率化するために活用されています。顧客とのやり取りやフォローアップのタイミングなどを管理できるようになるので、成約率を高める効果が期待できます。
FAQ
FAQは、よくある問い合わせをデータベース化し、オペレーターや顧客が簡単に情報を検索できる仕組みです。このシステムを導入すれば、オペレーターは問い合わせに対してスムーズで正確な回答できるようになり、対応時間が短くなります。また、顧客側も疑問や質問を自分で解決できるようになるので、問い合わせの手間がなくなります。
これらのシステムは、それぞれ単独で導入するだけでも一定の効果を得られますが、組み合わせることでより効果があります。例えばCTIとCRMを連携させると、顧客からの着信時に詳細な情報を自動で表示できるようになるので、よりスムーズな対応が可能になります。自社の課題に応じてシステムを導入することをおすすめします。
コールセンターのアウトソーシング
コールセンターの運営に課題がある場合、業務の一部または全体をアウトソーシングすることも検討してみてください。
アウトソーシング先のコールセンターは、その分野の「専門家」であるため、効率的な業務運営や稼働率コントロールのノウハウを持っています。自社で試行錯誤しながら管理方法を模索する必要がなく、短期間で効果的な運営体制を整えることが可能になります。
さらに、自社のリソースをコールセンター業務以外の重要な業務に集中させられるようになるので、企業全体の業務効率・生産性アップにもつながるでしょう。
稼働率を一定に保つ外注設計のメリット
自社で常に適正な稼働率を維持するのは、呼量予測や急な欠員の発生など、多くの変動要因があり容易ではありません。アウトソーシングを活用する大きなメリットの一つは、この稼働率コントロールを専門家に委ねられる点にあります。 実績豊富な業者は、精度の高いWFMシステムと長年の経験に基づいた人員配置ノウハウを持っています。また、複数の業務を担当するオペレーターを抱えているため、特定の業務の呼量が急増した際にも、他の業務から柔軟に人員を融通することで、稼働率を安定させることが可能です。これにより、企業は常に安定した品質の顧客対応を、コストを最適化しながら実現できます。
まとめ
今回の記事でご紹介したように、コールセンターの稼働率は業務の効率化とオペレーターの働きやすさを両立するための重要な指標です。稼働率が低すぎればリソースや人件費の無駄、高すぎればオペレーターの負担増と、どちらもリスクを伴います。そのため、日々の数値を確認しながら、人員配置や業務の分担を適切に調整することが大切です。また、現状のコールセンター運営に問題を感じているのであれば、業務管理システムの導入やアウトソーシングの活用も視野に入れてみてください。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
