コンタクトセンター
コンタクトセンターとコールセンターの違いは?定義や導入・運用時の注意点



企業の顧客対応部門として一般的に知られている「コールセンター」と「コンタクトセンター」ですが、どのような違いがあるのかわからないという方もいるのではないでしょうか?実は対応範囲や役割には明確な違いがあります。この記事では、それぞれの定義や共通点、違いについて解説します。
コールセンターとコンタクトセンターの基本定義と共通点は?

コールセンターとコンタクトセンターの基本的な定義と共通点をご紹介します。
コールセンターの定義
コールセンターは、主に電話を使って顧客対応を行う部門を指します。具体的には以下のような業務があります。
- 顧客からの問い合わせ対応(インバウンド)
- 商品やサービスの注文受付
- クレーム対応
- 電話を使った営業活動やアポイント取得(アウトバウンド)
電話業務に特化しているため、応対スキルの均一化や通話履歴の管理、オペレーターの教育などが重視される運用となります。
コンタクトセンターの定義
一方、コンタクトセンターは、電話だけでなく、複数のチャネルを活用して顧客とやり取りする部門です。対応チャネルは以下の通りです。
- 電話
- メール
- チャット(Web・LINEなど)
- SNS(X、Instagram、Facebookなど)
- WebフォームやFAQ
- FAXや郵送物(はがきなど)
コンタクトセンターは、このようなオムニチャネル対応が特徴で、顧客が希望する方法で問い合わせができる環境を提供します。そのため、一元管理・対応履歴の統合・チャネルごとの対応最適化が求められる複雑な業務体制となります。
コールセンターとコンタクトセンターの共通点は?
コールセンターとコンタクトセンターにはご紹介したような違いがありますが、共通点としては以下があります。
- 顧客と企業の接点を担う重要な窓口
- 問い合わせ対応を通じて顧客満足度(CS)向上を目指す
- 企業のブランドイメージや信頼性に直結する業務を担当
それぞれ対応範囲は異なるものの、顧客との接点となる重要な窓口であることは共通しているといえるでしょう。 なお、近年は、従来の「電話中心」のコールセンターから、チャットやSNSにも対応可能な「コンタクトセンター」へ移行する企業が増加しています。
これは、顧客の問い合わせ手段が多様化しており、利便性の高い体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)を提供することが競争力のカギとなっているためです。
コールセンター・コンタクトセンターの特徴と主な業務は?

コールセンターとコンタクトセンターそれぞれの特徴や主な業務について詳しくご紹介します。
コールセンターの特徴と主な業務内容
コールセンターは、「電話対応に特化」した顧客対応部門です。オペレーターが1対1で顧客と通話し、主に次のような業務を行います。
・インバウンド(受信)業務 注文受付、商品・サービスに関する問い合わせ、クレーム対応、予約受付など
・アウトバウンド(発信)業務 顧客へのサービス案内、営業アポイント取得、アンケート調査、支払い督促など
コールセンターでは、オペレーターのスキルに応じて顧客体験が左右されるため、教育・品質管理が非常に重要です。 また、IVR(音声自動応答)や通話録音、ACD(自動着信分配)などのシステムを使い、対応の効率化・標準化が図られます。
コンタクトセンターの特徴と主な業務内容
コンタクトセンターは、電話に限らず複数のチャネル(接点)を活用して顧客対応を行う部門です。対応チャネルには電話に加え、「メール・チャット・SNS・Webサイト・チャットボット」などがあり、多様なチャネルに対応しているのが特徴といえるでしょう。
これにより、顧客は自分に合った手段で問い合わせができるほか、24時間365日対応や即時回答の仕組みも構築可能です。さらに、オムニチャネル対応によって、各チャネルでの応対履歴を一元管理し、チャネルをまたいだスムーズな対応も実現します。 また、顧客の行動やニーズの多様化に合わせて、柔軟でパーソナライズされた体験を提供することが求められるのも特徴のひとつです。
コールセンターとコンタクトセンターの違いは?
コールセンターとコンタクトセンターの違いをまとめます。
コールセンター | コンタクトセンター | |
---|---|---|
主な対応チャネル | 電話のみ | 電話+メール、チャット、SNSなど複数 |
業務範囲 | 通話による問い合わせ・注文・営業など | チャネル横断での総合的な顧客対応 |
対応可能時間 | 主に営業時間内 | 24時間対応も可能(チャットボット等) |
顧客対応の手段 | オペレーターによる音声通話中心 | 顧客の希望に応じた多様な手段 |
情報管理 | 通話記録や対応履歴を個別管理 | 複数チャネルを横断した情報一元管理 |
目的 | ・顧客からの電話を中心とした問合せ対応 ・顧客満足度・体験(CS・CX)の向上 |
・チャネルを結合した複合的な顧客対応 ・顧客満足度・体験(CS・CX)の向上 |
コンタクトセンターが注目される背景は?

近年、従来型の電話中心の対応から脱却し、複数チャネルを通じた顧客対応を行う「コンタクトセンター」が多くの企業で注目を集めています。
その背景には、消費者行動の変化や顧客満足度重視の風潮、業務効率化のニーズなど、さまざまな社会的・技術的要因があります。コンタクトセンターが注目を集める背景について詳しくご紹介します。
コミュニケーション手段の多様化
スマートフォンの普及やSNSの浸透により、顧客の問い合わせ手段が電話以外にも広がっています。
SNS(X・Instagram・LINEなど)やWebチャットの利用が急増しており、企業にとっても「見逃せない接点」となっているのが代表的といえるでしょう。
また、顧客は「電話で長時間待たされるよりも、短文でチャットを送信したい」と考えるようになっており、利便性や即時性を求める傾向が強まっています。
このような変化に対応するため、チャネル横断で対応できるコンタクトセンターの重要性が高まっているのです。
顧客満足度・体験向上のニーズ
現代の顧客は「ただの問い合わせ対応」ではなく、快適でスムーズな体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)を重視しています。
コールセンターからコンタクトセンターに移行することで、電話・メール・チャットなどの多様な手段に迅速に対応することで、待ち時間の削減やストレスのない応対が実現しやすくなります。
こうした体験の積み重ねは、企業に対する信頼やロイヤルティの向上につながるでしょう。
効率化と24時間対応の実現
コンタクトセンターに移行することで、チャットボットやIVR(自動音声応答)などの自動化技術を取り入れ、対応コストを抑えつつ、24時間365日のサポート体制を構築できます。
定型的な問い合わせは自動応答で処理し、複雑な対応は人間のオペレーターが担う「ハイブリッド運用」も可能になり、人員を最適に配置し、業務負荷を分散しながらサービスレベルの維持・向上が実現できます。
特にECサイトやグローバルサービスなど、時間や地域を問わず顧客対応が必要な企業にとって、コンタクトセンターの導入は大きなメリットをもたらします。
コールセンター・コンタクトセンター導入時の注意点は?

コールセンターやコンタクトセンターの導入・構築には、注意すべき要素が多くあります。 特に「人材」「システム」「情報管理」の3点は、運用の成否を左右する重要なポイントです。以下でそれぞれの注意点を解説します。
オペレーターの採用・育成
コールセンターでは、顧客と電話で直接やりとりを行うため、迅速かつ正確に対応できるスキルを持ったオペレーターの採用と育成が重要となります。
一方で、コンタクトセンターでは、チャットやメール、SNSなど複数のチャネルに対応する必要があり、それぞれの特性に応じたコミュニケーション能力が求められます。
いずれの場合も、オペレーターには業務知識や対応スキルを身につけさせるだけでなく、継続的なトレーニングや評価制度を通じて、成長を支援する仕組みを整えることが必要です。これにより、対応品質の維持と顧客満足度の向上が期待できます。
システム・ツール導入のポイント
コンタクトセンターの運用では、電話だけでなく、チャット、メール、SNSといった多様なチャネルを統合的に管理・運用するシステムの導入が不可欠です。
これに加えて、CRM(顧客管理システム)との連携により、顧客情報や対応履歴を一元化することで、スムーズな対応が可能となります。
また、チャットボットや自動音声応答などの自動化ツールを活用することで、業務効率の向上も見込めます。
ただし、システムの導入にあたっては、オペレーターが日常的に使用するものであることから、操作性や習熟のしやすさも考慮すべきポイントです。実際の業務に即した運用ができるかどうかも含め、導入前に十分な検証を行うことが望ましいでしょう。
情報管理とセキュリティ
コールセンターやコンタクトセンターでは、多くの顧客情報や対応履歴を扱うため、情報管理とセキュリティの確保が非常に重要です。
情報を一元管理できる体制を整えるとともに、アクセス権限の制御や操作ログの記録などを通じて、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑える必要があります。
さらに、個人情報保護法などの関連法令を遵守した運用ルールを定め、従業員に対する情報セキュリティ教育も定期的に実施すべきでしょう。システム的な対策に加え、運用体制そのものにも万全の備えが求められます。
自社に合ったセンターを選ぶには?

コールセンターとコンタクトセンターのどちらを導入するかは、企業の業種やサービス内容、顧客との接点のあり方によって適切に判断する必要があります。特に、顧客層や提供しているサービスの性質、問い合わせチャネルの多様性が選定の重要な基準となります。
センターが必要かどうかを見極める
電話による注文受付や予約対応など、比較的単一チャネルでのやり取りが中心である業態では、従来型のコールセンターでも十分に機能を果たすケースがあります。
一方で、顧客がメールやチャット、SNSなど複数の手段で企業と接触することを求めるような環境では、オムニチャネル対応が可能なコンタクトセンターの方が適しています。
近年は、顧客体験(CX)を重視する動きや非対面・非同期のコミュニケーション需要の高まりを受けて、コールセンターからコンタクトセンターへの移行や統合を進める企業が増えています。ただし、この流れがすべての業種にとって最適とは限らず、現場の課題や目的に応じて適切な形態を見極めることが大切です。
必要な機能や対応範囲を定義する
自社がセンターを通じて何を実現したいのかを明確にし、それに必要な機能や対応範囲を定義することです。
業務効率化を図りたいのか、顧客満足度を向上させたいのか、それとも営業やマーケティングとの連携強化を目指すのかといった目的によって、必要とされるシステムや人材、運用設計も異なってきます。
このほか、最新の技術や運用ノウハウを積極的に取り入れる姿勢も欠かせません。AIを活用した自動化やVOC分析、CRMとの連携といった要素も、今後のセンター運用においては競争力を高めるための重要な要素となります。
自社の業態、抱えている課題、そしてセンターを通じて実現したい成果を網羅的に整理し、最適なセンターの体制を考えましょう。
まとめ
コールセンターは電話対応に特化した顧客対応窓口であるのに対し、コンタクトセンターは電話以外にメールやチャット、SNSなど複数のチャネルに対応できるのが特徴です。
顧客接点の多様化や満足度向上の重要性が増す中、オムニチャネル対応が可能なコンタクトセンターの導入が注目されています。導入にあたっては、自社の目的や課題を明確にし、適切な体制やシステムを選ぶことが重要です。
コールセンターからコンタクトセンターへの移行を検討している方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。

ProCX編集部
NTTマーケティングアクトProCX
